覚せい剤取締法違反(所持)で逮捕されたタレント酒井法子容疑者(38)は9日、警視庁の調べに対し、昨年夏から覚せい剤を使用していたことを全面的に認め、常習性をうかがわせる供述をしていることが分かった。同庁によると、夫の自称プロサーファー高相祐一容疑者(41)に勧められ、一緒に覚せい剤をあぶり、パイプで吸っていたことを、時には涙をみせながら供述している。行方不明中の行動についても、山梨県や都内を転々としていたことが明らかにされた。

 警視庁によると、酒井容疑者は、9日午前から始まった本格的な取り調べに対し、素直に応じているという。前日8日夜、出頭した直後の調べには、都内の自宅マンションで押収された覚せい剤について、自分のものかどうかあいまいな供述をしていた。しかし、一夜明けると一転して使用を認め、涙を見せる場面もあった。

 反省した態度を見せながら「昨年の夏ごろ、夫に勧められ、吸引するようになった」と覚せい剤の使用を認める供述を始めた。夫の高相容疑者も「夫婦で覚せい剤をやっています。私が勧めました」と供述内容が一致した。

 警視庁によると、使用方法についても「一緒に『あぶり』をやりました」と具体的に供述。夫とアルミ箔(はく)などにのせた覚せい剤を火であぶり、パイプで吸引していたようだ。最近の常習者には“一般的”な方法だ。逮捕容疑となった覚せい剤0・008グラムはアルミ箔に包まれていた。常習者が1回で使う平均量の約0・03グラムに満たないのは吸った後の残りだったようで、あぶった際に焦げたとみられる跡もあった。

 室内には未使用も含む吸引用とみられる数十本のストローも見つかっており、ストローに付いた唾液(だえき)のDNA型鑑定が酒井容疑者のものと一致していた。また逮捕直後に実施した尿検査の鑑定結果については、覚せい剤反応は検出されなかった。同庁では、酒井容疑者が覚せい剤を常習していた可能性もあるとみて、供述の裏付けを進めつつ、覚せい剤の入手ルートなど詳細な事実関係の解明を急ぐ。

 同容疑者は夫の高相容疑者が覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで現行犯逮捕された3日未明以降、行方不明になっていた。逮捕直後の調べでは6日間の逃亡生活について「話したくありません」としていたが、この日の調べで足取りが少しずつ明らかになってきた。東京・新宿区や中央区で寝泊まりをして、4日夕に携帯電話の電波がキャッチされた山梨県にも行っていたという。

 また酒井容疑者とみられる人物から都内の知人宅に速達郵便が届いていたことも判明。酒井容疑者は同宅に長男(10)を預けていた。「テレビはずっと見ていた」と話しており、自分に捜索願が出され、その後逮捕状が請求されたことを知り、出頭を決意。弁護士に連絡して8日夕に所轄の渋谷署に出頭するつもりだったが、多くの報道陣が集まっている状態を知り混乱してしまい、あらためて富坂庁舎への出頭となった。

 今回の事件捜査は警視庁の組織犯罪対策5課が進めている。同課は主に暴力団や銃器・薬物対策のために警察内部に置かれた組織。覚せい剤の入手ルートの背景にある組織の解明と一掃を視野に入れている。警察関係者によると、今回の事件について、警視庁など全国都道府県警を指揮する警察庁も重大な関心を示し、捜査に対して厳しい姿勢で臨み、全容の徹底解明を促しているという。

 [2009年8月10日9時28分

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