歯に衣(きぬ)着せぬ毒舌が特徴だった政治評論家の細川隆一郎(ほそかわ・りゅういちろう)さんが25日午後7時ごろ、都内で老衰のため亡くなった。90歳だった。家族によると、この日は昼食に刺し身を食べるなど元気な様子だったが、夜になり「ろうそくが消えるように静かに息を引き取った」という。葬儀・告別式は未定。

 細川さんは家族や親族も政治関係が多く、叔父は元衆院議員で政治評論家の故細川隆元さん、元首相の細川護熙氏は遠縁にあたる。テレビ朝日系の政治バラエティー番組「たけしのTVタックル」などでも人気で、99年には吉本興業にも所属。タレント活動も行って、政治への関心を高めた。

 細川さんは福岡県小倉市生まれで、熊本藩細川家の一族という名門。42年に早大政経学部を卒業し毎日新聞社に入社したが、太平洋戦争のさなかで、1カ月後に入隊。45年の終戦とともに新聞社に復帰し政治部に配属、60年安保騒動を担当。退社後、評論家として81年の大平正芳元首相死去をラジオ放送でスクープした。

 6年前に脳梗塞(こうそく)で入院し、目も不自由になったが、娘で政治ジャーナリスト細川珠生氏と95年から続けているラジオ番組「珠生・隆一郎のモーニングトーク」は今も続いている。今年1月に700回目を迎え「政治家が理想を持っていない今、日本は少しも良くなっていない」と、厳しく話した。家族によると30日投票の衆院選を楽しみにするなど、最後まで政治の動向を気にしていたという。

 [2009年8月26日8時3分

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