フジテレビ報道局の解説委員で報道番組「ニュースJAPAN」の編集長も務めた松本方哉氏(53)が30日、著書「突然、妻が倒れたら」を新潮社から出版する。約2年前、妻が46歳でくも膜下出血で倒れ、介護のため番組を離れた。妻は今年3月に卵巣のう腫が悪性に転化したという。同書は闘病についてジャーナリストとして、また介護する当事者の立場でつづっている。

 松本氏は80年に入社して以来、報道畑を歩み、ワシントン特派員も経験した。03年夏から「ニュースJAPAN」編集長になった。滝川クリステルと並んで座り、1日のニュースを締めくくっていた花形キャスターが、妻が倒れたことで生活を一変させた。発症当日は「家族の看護のため」とだけ局に伝えた。妻は命を落としてもおかしくないほど、重度のくも膜下出血だった。

 得意としていた米国の外交や湾岸戦争、米中枢同時テロの報道とはわけが違う。「家の通帳はどこにあるか。印鑑はどれ」といったことすら妻に任せきりで知らなかった。当時小5だった息子の育児も含めて手探り状態で家事をこなし、左半身にまひが残った妻の介護やリハビリを手助けした。そんな状態で日中はメールで仕事のやりとりをし、夕方出社し午前3時前に帰宅する生活を送った。休養と復帰を繰り返し、結果的に番組を離れる形になった。

 もともとプライバシーは語らない主義。学歴や家族などについて明らかにしていなかった。今回出版に至った理由を松本氏は「こうした病に直面した時に役立つ本が見当たらなかった。今直面しているか、これからこうなるかもしれない人々に役に立ちたい」と本の中で説明している。ほかにも「自分の生き方を練り直すための手引書」「かろうじて命を取り留めて頑張る妻へのエール」などと挙げている。

 第三者に伝えるため、術後の記録についてはジャーナリストとして淡々と観察。介護に携わる当事者、夫や父親としての視点もある。出版元の新潮社では「この本を通じて出口のない看病や介護の大変さ、いつ誰の身に起こるかも知れないと認識してもらえれば」と話している。

 [2009年10月29日9時7分

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