くも膜下出血のため10月21日に亡くなった元女優南田洋子さん(享年76)の通夜が29日、東京都港区芝公園4の7の35、増上寺で営まれた。夫の長門裕之(75)の出演舞台の千秋楽を待ち、この日が選ばれた。450人以上の弔問客が訪れ、南田さんと最後の別れをした。この日午後4時からは同寺慈雲閣で一般の焼香も受け付けられ約200人のファンが訪れた。葬儀・告別式は30日午前10時半から、同所で営まれる。
南田さんへの愛がこめられた式だった。遺影は長門が03年にプライベートで撮影した写真。関係者が「一番いい顔をしている1枚」だと話す遺影は、ボブカットの南田さんが優しい笑みをこぼしている。写真を選ぶ際、長門とのツーショット写真ばかりで南田さん1人で写っているものが少なく、苦労したという。式場には、旅行や結婚式など、2人の仲むつまじいツーショットパネルも数枚飾られた。
亡くなってから葬儀まで日が開いたため、南田さんの遺体は22日深夜、自宅から都内の霊安室に移された。同日は出演する舞台が休みだったため、長門は一日中そばに付きっきりだったという。自宅を離れる際には「お仕事頑張ってくるから、寒いけど待っててね」と声掛けし、一時別れたという。この日、7日ぶりに対面した長門は、しばらく南田さんの遺影に向かって話しかけていたという。
関係者によると、この日の長門は、舞台の疲労と最愛の妻を亡くした喪失感から憔悴(しょうすい)しきった様子で、声もかけられない状態だった。それでも、通夜に参列した津川雅彦は「参列者と泣きながら握手を交わすうちに、顔が紅潮し元気になっていった」と話した。
祭壇は、シンプルなものを好んだ南田さんの趣向に合わせて白を基調とした。バラやカーネーション、ユリといった白い花で覆い尽くされたが、その中に、南田さんの一番好きだったフリージア1500本が添えられた。通常11月から咲く花だが、早めて咲かせたという。鮮やかな黄色がひときわ目立った。BGMには2人の思い出の曲である日野てる子さんの「マウイワルツ」が流れ、長門が撮影したプライベートビデオで、自宅や、馬が好きだった南田さんがよく行ったという競馬場での映像も公開された。
法名は「女優として華やかに活躍し、徳に満ちた生涯を全うした。長門裕之をはじめ、かかわりあるすべての人へ海のごとく広く深い愛を注いだ人」との願いがこめられ「華徳院釈尼洋愛(けとくいんしゃくにようあい)」と名付けられた。ひつぎの中の南田さんは、長門が用意した、白地に茶色と緑色の模様がついたパジャマを着用し、頭には白地に茶色のバンダナ。夫の愛を感じておだやかに眠っていた。
[2009年10月30日8時55分
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