08年10月に肺炎で亡くなった歌手の故フランク永井さん(享年76)の東京・目黒区の自宅跡地にパプアニューギニア大使館が建設されていることが28日、分かった。建物は地上5階、地下1階。4月1日に工事が始まり、12月25日に完成予定だ。

 事情を知る関係者によると、07年1月に永井さんの遺族が不動産会社に売却した土地を、パプアニューギニア政府が昨年6月に購入したという。敷地面積は約100坪(約330平方メートル)で、当時の相場は約3億円だった。この関係者は「マウエ大使をはじめ、大使館職員の方々は、ここが永井さんの自宅跡地とはご存じのはずです」と話している。

 永井さんが亡くなるまで住んだ目黒区は、11カ国の大使館が軒を連ねる「大使館銀座」だ。地元の不動産業者は「目黒は赤坂や六本木より土地の価格が安く、交通の利便性も悪くないから」と説明する。永井さん自宅跡地についても、同業者は「売り出しの07年当時は不況で不動産売買が停滞していた。1坪約300万円という相場通りの価格設定では高いと思っていたが思ったより早く売れたので驚いた」と振り返る。

 パプアニューギニア政府は、75年に日本大使館を設置し、現在は港区内のビルの部屋を間借りしている。海外に自前の大使館を建てるのは、オーストラリアに続き2カ国目。同国は液化天然ガス(LNG)の輸出に力を入れており、その政策実行の拠点とする目的も含め新大使館建設に踏み切ったようだ。有名人の自宅跡地が、大使館になるのは極めて異例だが、天国の永井さんはかつて所有し、自宅をかまえた土地が国際交流の場となることに何を思うだろうか。

 [2009年11月29日9時36分

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