昨年5月に死去したロック歌手忌野清志郎さん(享年58)の新アルバム「Baby#1」に、長男の竜平(たっぺい)さん(21=大学生)が参加していることが10日、分かった。新アルバム発売は、1月14日に発表されていたが、89年の未発表音源を基に、竜平さんが仲井戸“CHABO”麗市(59)ら生前に父が親しかったメンバーたちと協力し、完成させたことも新たに分かった。

 清志郎さんが、21年前に米ロサンゼルスで録音して、その後行方不明だった幻の音源が、昨夏に東芝EMI(現EMIミュージックジャパン)の静岡・御殿場工場の倉庫で発見された。清志郎さんの録音エンジニアだったZAK氏が制作の指揮を担当。RCサクセションの元メンバーCHABO(チャボ)や、08年2月の生前最後のライブでも演奏したサックス梅津和時、片山広明、渡辺隆雄、旧友の歌手金子マリらもレコーディングに参加した。

 竜平さんも、コーラスを担当した。関係者は「お父さんの影響で、自分でもバンドを組んでベースを弾いているので、コーラスのリズムもばっちりでした」。楽しそうにレコーディングしていたという。

 コーラスを吹き込んだ1曲は「I

 Like

 You」。90年9月のRC最後の新曲で、清志郎さんが幼い竜平くんにささげたラブソングとして、当時も話題になった曲だった。21年前の清志郎さんの歌声に、親友チャボのギターと愛息の声が重なり、珠玉の歌が完成。竜平さんは、チャボとスタジオで抱き合って喜んだという。アルバムの表題曲「Baby#1(ベイビーナンバーワン)」も、誕生したばかりの竜平さんへの思いを込めた未発表曲だった。

 ジャケット写真は、チャボの妻で写真家おおくぼひさこ氏撮影の、鋭さを漂わす秘蔵カットを使用した。反核・反戦アルバム「COVERS」で発売中止騒動を起こし、ゲリラバンド「ザ・タイマーズ」で、世間を騒がせていた時代の1枚。清志郎さんの思いが詰まった新作は、デビュー40周年記念日の3月5日に発売される。

 [2010年2月11日9時19分

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