演出家でテレビプロデューサーの石井ふく子さん(83)が、昨年8月3日に自宅で孤独死した女優大原麗子さん(享年62)との確執を初めて打ち明けた。8月1日午後3時放送のBS-TBS「新証言!

 昭和スターの知られざる生と愛と死」で、語っている。

 原因は出演者名の順番だった。08年12月に再放送されたTBS系「源氏物語」(92年1月3日放送)のエンディングに流れるスーパーについて、大原さんから「自分の名前がトップじゃないと嫌だ」と石井さんに強く要求したが、「それはアイウエオ順で決まっている。趣旨が違う」とし、その求めに応じなかった。これを境に大原さんは、石井さんからの電話に出なくなった。大原さんが自宅に保存していた新聞、週刊誌記事のスクラップ(死後に発見)の中にあった“石井ふく子”の文字は黒く塗りつぶされていた。

 それまでは「姉妹のように仲がいい」と言われた間柄で、その1カ月前の大原さんの誕生日(11月13日)も2人きりで祝っていた。しかし、当時の大原さんは「ギラン・バレー症候群」にかかっていた上、自宅で転倒して右手首を骨折するなどし、精神的に不安定な状態に陥っていた。女優業は長期休業状態。石井さんと断絶したまま亡くなった。遺体は死後3日たって弟政光さんに発見された。

 大原さんが、数十年に及ぶ友情関係をかえりみず、激怒した背景について、石井さんは日刊スポーツに「情緒不安定なことが一番大きかったと思います」と話した。その上で「1人暮らしを始めてから心配してました。もっと電話して近づいていればって思うんです。感性もあるし華やかで、声にも特徴がある。あんな実のある女優はもう2度と出てこない、今でも麗ちゃんがいたら…」と後悔の念を口にした。

 8月3日は大原さんの一周忌。石井さんは「親族の方とお墓参りに行くつもりです」と話した。【梶ひと美】

 [2010年7月23日9時59分

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