人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」のプロデューサーとして知られる西崎義展氏が7日、東京都小笠原村父島で船から海中に転落死した。75歳だった。遊泳目的で船から海に飛び込もうとして、誤って転落したとみられ、小笠原海上保安署などで現在、捜査を進めている。

 西崎氏は午後0時35分ころ、自身が代表のウエストケープコーポレーションが所有する船「YAMATO」から海に転落したという。同船は父島の二見港に停泊していた。「YAMATO」には西崎氏を含め9人が乗船しており、友人の1人が同45分に小笠原海上保安署に通報した。10分後、小笠原海上保安署の監視取締艇に救助され、救急車で小笠原村診療所に搬送されたが、午後2時58分に医師により死亡が確認された。上下ウエットスーツ姿だったことから、同保安署は遊泳目的で自ら海に潜ろうとし、発生した事故とみて捜査を続けている。

 西崎氏は音楽プロデューサーを経て、1963年(昭38)にオフィスアカデミー(後のウエストケープコーポレーション)を立ち上げ、74年に「宇宙戦艦ヤマト」を製作した。同アニメは空前のヒットとなったが、97年に破産した後は、かつての名声を汚す出来事が続いた。翌98年には覚せい剤取締法違反などで逮捕、起訴。同年には「宇宙戦艦ヤマト」の著作権をめぐり、漫画家松本零士氏との裁判闘争がスタート。03年に自身が筆頭著作者であるが、松本氏との共同著作物であるとする法廷外和解が成立したが、ほかにもトラブルが絶えなかった。

 昨年12月、26年ぶりに劇場版映画として「宇宙戦艦ヤマト復活篇」が公開された際は「喜びで胸いっぱいです」とコメントしたが、人生の最期を「YAMATO」で終える皮肉な結末となった。

 [2010年11月8日10時1分

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