昨年11月、覚せい剤取締法違反(使用、所持)の罪で有罪判決を受け、執行猶予中の元女優酒井法子さん(39)が初の自叙伝を出版することが28日、分かった。題名は「贖罪(しょくざい)」(朝日新聞出版)で、来月3日に発売される。事件当時の胸中を初めて語ったほか、生い立ちから現在の生活までをつづっている。芸能界への復帰は白紙だが、ありのままをつづった自叙伝は自身の“再生”を示している。

 酒井さんが初めて事件を含め、半生を振り返ることを決意した。初の自叙伝「贖罪(しょくざい)」は200ページを超え、一貫して“私”の1人称でつづられている。冒頭はファンや元所属事務所スタッフをはじめとした仕事関係者への謝罪から始まっている。

 事件を機に芸能界から身を引き、高相祐一さんと今年6月末に離婚した。現在は長男(11)との生活に専念している。昨年9月17日の保釈直後に会見で謝罪。その後、公判以外は公の場に姿を見せず、胸中を語ることは一切なかった。

 自叙伝は全8章の構成。事件については2章が割かれた。元夫の逮捕後、数日間周囲と連絡を絶ったことについても触れ、パニック状態だった心境を振り返っている。また、留置場生活についても触れている。犯罪を悔やみ、最初は泣いてばかりいたこと。家族旅行で行った奄美大島での覚せい剤使用について、約3週間否認したのは、長男の思い出が汚れてしまうことを恐れたこと。これまで語ることのなかった事件当時の胸中を正直に明かしている。

 薬物についての章も割かれ、使用した経緯から何度もやめようと言いながらやめられなかった後悔を吐露している。そのほか、転々と居を移した不遇な生い立ちからアイドル時代の悩み、夫との出会いからなぜ離婚を決めたのかについても告白。離婚が成立し、周囲に励まされながら前向きになっていった最近の心境までをつづっている。

 自叙伝出版を決意した理由について、関係者は「事件を風化させたいというのが本音でしょうけれど、多くの人を傷つけてしまった事件なので、自分の言葉でありのままに説明しないといけないと考えたようです」と話している。酒井さんは今回、初めて自分の言葉で事件を含めた過去を振り返った。それは、更生の道を歩む酒井さんの姿と重なってくる。

 [2010年11月29日8時31分

 紙面から]ソーシャルブックマーク