<第61回NHK紅白歌合戦>◇12月31日◇NHKホール

 8月に食道がんの手術を受けたサザンオールスターズの桑田佳祐(54)が、「第61回NHK紅白歌合戦」に、都内のスタジオから紋付きはかま姿で中継で出演した。「全国放送なんですか」と語るなど元気な姿と歌を披露した。福山雅治(41)は横浜市から中継で“断髪式”を行い、本会場の東京・渋谷のNHKホールでは、プロゴルファー石川遼(19)が開幕宣言を行った。初司会の嵐も企画コーナーを含めフル稼働し、白組が6年連続で勝利した。通算成績は白組の33勝28敗。

 桑田が完全復活した。デビュー以来、30年以上にわたり名曲を生み出した東京・ビクタースタジオから生中継で出演。NHKホールに桑田の姿が映し出されると、会場から大きな拍手が起こった。

 第一声は「あっ、どうも」。紋付きはかまの正装で「おかげさまで帰って参りました。こういう場ですから、カチンカチンにしてきました」とあいさつ。さらに「全国放送なんですか、これ。まずいな」と真顔でギャグを飛ばし、復活を宣言した。

 桑田

 ふとした病によりましてですね。(立川)談志師匠のパクリなんですけど、大変ご心配おかけしましたけども、皆さまからの熱いご声援のおかげで、逆に今年は、私にとって本当に素晴らしい年になったんじゃないかなと。皆さまからたくさんいただいたエネルギーで来年は多分、新たに飛躍できたらと思っております。

 歌ったのは、新ソロアルバムの収録曲「それ行けベイビー!!」と、8月25日に発売した「本当は怖い愛とロマンス」の2曲。「それ行け-」は「♪我ゆく旅の道中は予期せぬことばかり~命をありがとネ~ファイト」の詞が盛り込まれていた。妻の原由子(54)が25日に「(新アルバムで)大変な経験があったからこその曲もできた」と報告していたが、その楽曲とみられる。

 1曲目はシックに歌いきったが、2曲目の「本当は-」では一転、2人のハイレグバニーガールが登場する明るい演出になった。桑田はバニーガールの腰回りを、手に持った扇子でいじろうとしておちゃらけ、最後は2人のバニーガールを両脇に抱え、2人のほおをなめるそぶりまでした。歌い終えると「申しわけございませんでした」とこれまた真剣な表情で頭を下げ、最後は「次は石川さゆりです」と曲紹介までした。

 7月4日に原の鎌倉ライブでサプライズ出演して以来の公の場だった。退院時に「特別な栄養療法のおかげでやせることもありませんでした」「声に関しても何の影響も残さない治療をしていただいた」と報告していたが、声、体形、アクションもすべて以前と変わらない桑田が画面にいた。

 歌が終わると同時に「皆さまからの温かいご声援に、心より感謝申し上げます!!」と書かれた幕が広げられた。中継が始まってからの出演時間は8分23秒。復帰を心待ちにしていた全国のファンが笑顔になる桑田らしいステージだった。桑田は今日、元日にはレギュラー出演するTOKYO

 FM「桑田佳祐のやさしい夜遊び」(土曜午後11時)にも復帰する。大みそかに元気な姿で戻った桑田が、2011年の音楽界を盛り上げる。【岩田千代巳】

 [2011年1月1日8時49分

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