16日に胃がんのため亡くなった俳優で司会としても活躍した児玉清(こだま・きよし)さん(本名・北川清、享年77)の通夜が、20日、東京・護国寺桂昌殿で営まれた。祭壇は白い花で飾られ、シンプルで、児玉さんの清潔感を表していた。会場には俳優谷原章介(38)や反町隆史、松嶋菜々子夫妻ら約900人が訪れて別れを告げた。児玉さんは「文芸春秋」5月号に、東日本大震災での菅直人首相や東京電力の対応についても寄稿。病と闘いながらリーダーシップ不在の日本の将来を不安視していた。

 祭壇に飾られた遺影の児玉さんは、にっこりと優しい笑みを浮かべていた。07年に、取材の際に撮影された写真で、遺族が選んだものだという。祭壇は白いラン、白い菊、白いユリで飾られた。誠実で清潔感あふれる児玉さんらしさを表現していた。法名は「修読院釈清優(しゅうとくいんしゃくしょうゆう)」。読書家で、書評家としても活躍し、清らかで優しい児玉さんにふさわしいものになった。ひつぎには愛読書を納めるという。

 会場には多くの共演者や仕事関係者が訪れた。谷原は俳優としてだけでなく、同じ司会者として大先輩の児玉さんから大きな影響を受けたことを明かした。06年フジテレビ系ドラマ「トップキャスター」で共演した谷原は、当時、07年から司会を務めるTBS系「王様のブランチ」の司会を受けるかどうか悩んでいた。児玉さんの言葉で背中を押されたという。

 谷原は「司会をやると、役者としての軸がぶれるかと悩んでいた。その時『残るものは広く一般の人に見てもらい、かつ子供が見るものが後々の世界に残る。心配せず、役者のフィールドにとらわれず、広く一般の人に見てもらうのが僕らの仕事だから』とおっしゃっていただきました」と明かした。その言葉に谷原は「1歩踏み出せた。今の僕があるのは児玉さんのおかげ」と語った。

 児玉さんは「パネルクイズ

 アタック25」の司会を36年務めた。谷原は「児玉さんのように1つ1つを大事に生きてきたい。毎週、毎週積み重ねて、どこまで行けるか頑張りたい」と、児玉さんに続きたいという意欲を示した。

 会場では反町夫妻、松たか子、天海祐希、車いす姿の篠沢秀夫氏ら多数の関係者が参列、別れを告げた。天海は号泣し、ハンカチで目を押さえていた。【中野由喜】