交際していた女性に復縁を迫って脅すなどし、強要未遂と住居侵入の疑いで逮捕され、5月31日に起訴猶予処分で釈放されたロック歌手内田裕也(71)が3日、都内で釈明会見を開いた。被害者や妻で女優の樹木希林(68)ら家族に向けて謝罪したが、「酒を飲むとおかしくなる」「ロックンロールに免じて勘弁して」などと自己弁護。不倫の上、卑劣な犯行に及んだ反省は乏しかった。

 内田は、釈明会見をショーにした。会場はライフワーク「NEW

 YEARS

 WORLD

 ROCK

 FESTIVAL」を催している銀座の博品館劇場。午後1時、エルビス・プレスリー往年の名曲「マイ・ウェイ」が流れる中、内田がゆっくりと登場した。関係者は「演出ではない」と言ったが、ショーを見に来たわけではない取材陣からは失笑が漏れた。

 それでも構わず、内田はショーを続けた。左膝だけをつき「相手の女性とご家族に多大なるご迷惑をおかけして心から反省しております」。その後、5分30秒間は“半土下座”スタイルのままCMや仕事関係者などへの謝罪を続けた。「土下座はしない」。迷惑をかけた樹木にも、その姿勢を貫くという内田の、精いっぱいのポーズだったのだろう。

 取材陣からの質疑応答の際は立ち上がったが、犯行動機、状況については「武士の情けでロックンロールに免じて勘弁してください」などとし、明言を避けた。関係者によると、示談の段階で「プライバシーに関わる内容は口外しない」と一筆を入れているためというが、「酒を飲むとおかしくなる。空想や妄想が働いて悪いことをした」と言い訳はした。暴力については否定し、被害女性との再会についても「あ・り・え・ま・せ・ん」と断言。しかし、今後の不倫交際の可能性については「伊集院静さんに聞いてください。文学でもシェークスピアでも、男と女は解決できていない永遠のテーマだと思います」と否定しなかった。

 一方で樹木と1人娘の也哉子さんら家族への思いは殊勝に語った。樹木が勾留中に1度、面会に来たことを明かした。1分間の沈黙後、「謝らないんですか」と迫られたという。「会うと怖い。前の晩も眠れなかった。ただ、来てくれてうれしかった」。離婚の可能性については「結婚は1度きりと固く決めている」と否定し、樹木のことを「大好き」とも言った。ただ、也哉子さんは「口も聞いてくれない」という。

 約51分間、直立不動だった内田は「僕も汗だくだくの状態。男らしく罪は償う。素晴らしい映画も作って、(今年で)第39回目のROCK

 FESTIVALも開催したい。自分が話せるのは、これが限界。ロックンロール!!」と、いつものように締めた。卑劣な犯行をした後も自分のスタイルにこだわった71歳は、11日初日の韓国・済州島でのボランティアコンサートで早い社会復帰を果たす。【村上幸将】