歌のおばさんとして親しまれた歌手松田(まつだ)トシさん(本名同じ)が7日午前4時18分、老衰のため都内の高齢者施設で死去した。96歳。通夜は10日午後5時から、葬儀・告別式は11日午前11時から、いずれも東京都港区南青山2の33の20、青山葬儀所で営まれる。喪主は友人で後見人だった観世元康(かんぜ・もとやす)さん。

 観世さんによると、松田さんは病弱となった昨年12月から介護付き施設に入居。亡くなる約10日前から昏睡(こんすい)状態となり、静かに息を引き取った。

 松田さんは横浜市出身で、東京音楽学校(現東京芸大)の声楽科を卒業。童謡などの声楽家となり、47年「ブンガワン・ソロ」がヒットした。1949年から約15年間、NHKのラジオ番組「歌のおばさん」に出演し人気者となった。54年には第5回NHK紅白歌合戦で「村の娘」を歌った。71年スタートの日本テレビ系のオーディション番組「スター誕生!」の審査員を長らく務めたほか、後年は松田敏江の芸名で活動した。音楽教室も主宰し、岩崎宏美、良美姉妹ら多くの歌手を育てた。