歌手五木ひろし(63)の「後継者候補」は、IT王子だった。昨年11月30日、「五木ひろし~挑戦と継承~新人オーディション
決勝大会」でグランプリに輝いた鈴木啓真(ひろちか)さん(20)は、IT企業に人材を多数輩出している国立電気通信大情報理工学部の2年生だった。就職率も高く、将来に明るい展望もあるが、「小さいころから夢は歌手になること」ときっぱり。五木が設立したレコード会社「ファイブズエンタテイメント」からメジャーデビューを目指している。
昨年12月25日、鈴木さんは、都内ホテルで行われた五木のクリスマスディナーショーでお披露目された。オーディションの課題曲だった「股旅~旅笠道中・旅鴉」を五木ファンの前で初めて歌った。小柄で細身、爽やかなイメージとは違い、歌声はパワフル。「初めてのディナーショーでこんなに人数がいていいのかなと思いました。緊張しました」とは言うものの、堂々としたステージでファンをうならせた。
3歳で演歌を歌い始めた。祖母が通うカラオケ教室に連れて行かれたのがきっかけだった。「初めて歌ったのが伍代夏子さんの『ひとり酒』でよく歌っていました」と振り返る。「中学生のころはJ-POPとかも聴いていたんですが、その頃に五木さんの『契り』に出会いました」。その後も演歌一筋で練習を続け、今では約500曲を歌えるという。五木の歌は「もちろん全て歌えます」と話す。
五木との初対面は、高校1年の時に地元浜松市で行われたNHKのど自慢大会だった。ゲスト審査員が五木だったことで、迷わず「契り」を選択。優勝しその後、五木から直接歌唱指導を受けた。さらに歌手になる思いを強くした。だが、県内有数の進学校に在学し、周囲も進学を勧めたため大学受験。国立理系の名門、電気通信大学に進んだ。「受験勉強中も1日2時間は部屋で歌っていました。機械をいじるのが好きで部屋をカラオケボックスのようにしていたので」。
今後については、「卒業したいとは思いますが、どちらかと言われれば歌を選びます」と言い切った。「こんなビッグチャンスないですから。本当に行きたい道ですし、ITは趣味でやっていければ」。現段階で具体的なデビュープランは立っていないが、五木の後継候補として「ネットで歌が聞ける時代ですが、本当にファンになってもらえばCDも買ってもらえると思います。それだけの魅力のある歌手になりたいです」という熱い思いもある。その夢をかなえるために、五木についていく覚悟だ。【柳田通斉、荒木俊晴】
◆鈴木啓真(すずき・ひろちか)1991年(平3)7月26日、浜松市生まれ。3歳から演歌を歌い始める。5歳で地元ラジオ番組に出演。05年に日本大衆音楽祭で理事長賞受賞。同年第1回静岡県歌謡コンクールでグランプリ。08年NHKのど自慢に出場し、チャンピオンに。10年電気通信大学情報理工学部に入学。同年日本歌手協会プロレベル歌手認定(第1期生)。血液型B。165センチ、47キロ。
◆電気通信大
東京都調布市の国立大学で情報理工学部と電気通信学部(現在は募集停止)の2学部。1918年(大7)に、社団法人電信協会管理無線電信講習所として麻布飯倉町に創設。20年に校舎を目黒に移転し49年に国立学校設置法施行により電気通信大学となる。52年に調布校舎を開校し、57年に調布に全学部統合。




