人気ボーカルグループ、ゴスペラーズの北山陽一(38)が特別招聘(しょうへい)非常勤講師として、母校、慶大環境情報学部の教壇に立つことが1日、分かった。授業のタイトルは「うた」。第一線で活躍し続けるプロとしての経験を生かし、後輩でもある学生に対して、実践的な指導を行う。

 北山が特別招聘非常勤講師として教壇に立つのは、春学期の計15回。単位に関わる週1回90分の講義を受け持ち、日常的な行為である歌うことを細かく捉え直すことで、歌に対する感覚や視点を豊かなものにしていくことを目的にしている。

 98年に同学部を卒業した北山が、授業を受け持つのは初めてだが、これまでも後輩の指導に当たってきた。慶大のアカペラサークルでワークショップを開催。ボーカルに必要な基礎トレーニング方法を指導した。学部がある湘南藤沢キャンパス(SFC)で、学生とともに東日本大震災復興支援プロジェクトに取り組むなど、常に後輩のために尽力してきた。

 後輩への熱心な指導と母校に対する愛情から、講師として白羽の矢が立った。「環境情報学部教授とSFCについてお話しする機会があり、音楽系の授業が圧倒的に不足している旨を伝えたところ、『北山、お前がやれ!』と言われました。その場で(はいと)即答しました」。

 現在、教材を作成中。授業をスムーズに進めるために、学生の助手も募集しているなど、着々と授業の準備を進めている。「僕が歌手として生きていけているのは、奇跡的幸運がいくつも続いたからです。その結果、僕が得たものは、積極的に惜しみなく伝えていくべきだと考えています。たまたま僕は教えるのが好きだし、自分の持っている感覚や技術を伝えようとすることで、成長してきた側面も多くあります。今回の授業でどんな世界が開けるのか、今から楽しみです」。その上で後輩に向けて「広がる感覚を経験してもらい、視点や切り口の多様性によって生まれる新しい世界を身近に感じてほしいです」と期待を込めた。

 後輩の成長とともに、歌手としてのステップアップも目指す。

 ◆北山陽一(きたやま・よういち)1974年(昭49)2月24日、青森県生まれ。慶大環境情報学部に入学後、他大生ながら早大のアカペラサークルに参加。94年、サークルの先輩らが結成した「ゴスペラーズ」に加入し、主に低音パートを担当。08年、出身地八戸市の大使に。血液型A。