故深作欣二監督の妻で女優中原早苗(なかはら・さなえ、本名・深作早苗)さんが15日に都内の自宅で亡くなっていたことが18日、分かった。76歳だった。葬儀は19日に近親者のみの密葬で執り行われる。喪主は長男で映画監督の深作健太(ふかさく・けんた)氏。

 中原さんはマンションで1人暮らし。連絡が取れず心配した健太監督が、17日に訪ねると、部屋で倒れていた。検視の結果、死因は心不全で事件性はないという。東映関係者が4月上旬に会った時、変わった様子はなく元気そうだったという。健太監督もゴールデンウイークに会っていた。

 最後の仕事は数年前の舞台出演。最近は女優の仕事をしておらず、表舞台に出ることはなかった。04年の深作監督一周忌のしのぶ会で「よかったね、こんなに大勢の人に集まっていただいて」と亡き夫に語りかけた。この日、健太監督は「あんなに元気だったのに大変残念でなりません。天国で久しぶりに父と一緒にゆっくり映画のことなど語り合っていることと思います」とコメントした。

 中原さんは53年映画「村八分」でデビュー後、「太陽の季節」などに出演。「仁義なき戦い」シリーズや「蟹工船」などにも出演した。65年に深作監督と結婚した。