ラーメン大好きの歌舞伎俳優中村獅童(39)が、湘南の盛り上げ役を買って出た。震災の影響もあって観光客が減少した湘南を、ラーメンで盛り上げようと21日、神奈川県藤沢市の片瀬海岸で自分がプロデュースした特製ラーメンを発表した。湘南は、叔父の萬屋錦之介さん(享年64)とラーメンを食べたこともある思い出深い土地。少しでも観光客が増えてほしいという願いを込め、行きつけのラーメン店と共同で“湘南ラーメン”を売り出すことにした。

 あいにく気温21度と肌寒い曇り空となったが、獅童の気持ちは熱かった。自分で作ったラーメンを手に砂浜に立った。「芸能人がこういうことやると、やらされている感があるけど、これは自分が店を選んで作ったもの。本当においしいです!」。両脇に水着美女がいたのはモテ男らしいが、表情は真剣だった。

 片瀬海岸にある海の家にこの日限定で「湘南獅龍軒」をオープン。自ら調理したラーメンをオークションにかけ、震災チャリティーとするイベントも行った。実は湘南は昨年夏、観光客が減少した。神奈川県によると前年比で約14%(約657万人)減っており、震災や夏場の天候不順などによる海水浴客の減少などが原因とみている。この日、鈴木恒夫藤沢市長も「観光客が減ってしまった。今年は挽回したい」と話した。

 獅童は子供のころ、叔父の萬屋錦之介さんとよくラーメンを食べに来たのが、湘南だった。大人になっても友人と遊びによく訪れ、行きつけのラーメン店もできた。観光客が減ってしまった思い出の地のために“ご当地ラーメン”を作ろうと思い立ち、湘南海岸近くの本鵠沼にある「麺やBar渦」とタッグを組んだ。完成したラーメンは「湘南獅龍麺」と名付けた。「湘南の味」にこだわり、麺には地元藤沢産の小麦粉、スープも藤沢産ハマグリに鶏がら、豚がらを使用。藤沢産シラスを使ったつみれ風「しらすボール」もトッピング。潮風に合う“湘南ラーメン”が誕生した。

 無類のラーメン好きだ。週4日食べることもある。「小さいころ、ラーメン屋さんになりたかった」。東京・吉祥寺のラーメン店でアルバイトも経験した。「今も自分でやりたいけど甘くない。やるなら役者やめて打ち込まないと」。ラーメン愛は本物だ。

 片瀬海岸での「湘南獅龍麺」販売はこの日限定だが8月1日から「麺やBar渦」でメニュー化する。「暑い中のラーメンはうまいよ~」。水着美女そっちのけで、愛するラーメンと湘南を懸命にアピールした。【三須一紀】