コブクロが9日、大阪・万博記念公園で今年4月の活動再開後、初のライブを行った。昨年8月28日のツアー最終日以来、1年ぶりのライブにファン5万人が押し寄せた。発声時頸部(けいぶ)ジストニアの治療に専念していた小渕健太郎(35)は、1曲目「轍」の歌唱後に「コブクロが、コブクロが、コブクロが、帰ってきたー!」と絶叫。デビュー前から縁ある大阪の地で再び美しいハーモニーを響かせた。

 アンコール最後の「ココロの羽」を歌唱中、涙がこみ上げた。デビュー前から歌い続けたバラードを、黒田俊介(35)は声を震わせながら、小渕は目を潤ませながら、5万人のファンと大合唱。曲の終盤には、ステージから降り、ファンの元へ歩み寄った。

 小渕はアンコールで再び舞台に上がった。目は既に潤んでいた。「休みに入って2、3カ月、何をして良いか分からなかった。4カ月目くらいに人づてで『黒田が待ってるで』って聞いて。そこから、どんどんお客さんの顔が見えてきて、今日、ここにたどり着きました。ありがとう」。黒田は隣で静かにその言葉をかみしめていた。

 昨年8月28日、ツアー最終日に活動休止を発表した。小渕が発声時頸部ジストニアの治療に専念するため、黒田も持病の腰痛悪化、のどの疲労が蓄積していたため決断した。今年4月に復帰して以降、テレビ出演などで歌うこともあったが、約1年ぶりのライブステージ。感慨もひとしおだった。

 序盤は軽妙なトークで盛り上げた。黒田はファンの数に驚いた様子で「5万人ですよ。何両編成やねん!

 後ろの人も、こんにちは!」。小渕は「僕らはストリート(ライブ)から始まりました。ストリートを見に来たと思って楽しんでくれないですか!」と呼びかけた。この日はアンコールを含め12曲を歌った。

 「ココロの羽」は在阪ラジオ6局によるキャンペーン「ラジオにタッチ」のテーマソングに決まった。来月10日には大阪でラジオ局を巡り、ラジオジャックすることも発表した。苦境を乗り越え、ステージ復帰も果たした。日本を代表するスーパーデュオ、コブクロが帰ってきた。【鈴木絢子】

 ◆コブクロ

 小渕健太郎(こぶち・けんたろう)1977年(昭52)3月13日、宮崎県生まれ。168センチ。黒田俊介(くろだ・しゅんすけ)1977年(昭52)3月18日、大阪府生まれ。193センチ。大阪・堺の商店街で出会い、98年結成。01年「YELL~エール~」でメジャーデビュー。「蕾(つぼみ)」で08年日本レコード大賞受賞。06年ベストアルバム「ALL

 SINGLES

 BEST」は380万枚の大ヒット。