石原プロモーション所属の俳優池田努(33)が、ジェームズ・ディーン、スティーブ・マックイーンらを輩出した米ニューヨークの俳優養成所アクターズスタジオの舞台に立つことが5日、分かった。東洋人初の同スタジオ正会員の演出家ゼン・ヒラノ氏(78)のもとで9年間学んだことが認められて実現。13日から同スタジオで上演するヒラノ氏演出の舞台「夕鶴~Love

 of

 Crane~」で主演を務める。飛躍する絶好の機会に向けて今日6日、渡米する。

 00年8月の大型オーディション「21世紀の裕次郎を探せ!」で芸能界入りして12年。池田が俳優人生をかけた大舞台に立つ。「全てを背負って立ちます」。震えるような気持ちを抑えるように話した。

 アクターズスタジオは数多くのスターが演技の基礎を学んだ「聖地」。卒業生にはロバート・デニーロ、ダスティン・ホフマン、アル・パチーノ、マリリン・モンロー、メリル・ストリープら名優がずらり。池田は13日から3日間、同スタジオの舞台で主演を務める。演出のヒラノ氏は、同スタジオで多くのスターを育てた芸術監督リー・ストラスバーグ氏の理念を受け継ぎ、弟子として日米3000人以上を指導してきた。池田は03年4月、日本で指導していたヒラノ氏の教室に足を運んだ。同氏が翻訳した演技書「演技者へ」を読んでいたことがきっかけだった。演技経験が少なく悩んでいた時だったが、五感を使って感情や動作が自然発生することが演技だと教えられ、刺激された。「俳優は心情」「心を開け!!」という同氏の言葉が忘れられず、石原プロに了承を得て本格的に入門。07年は1年間俳優を休業して「多くの人に感動を届けるのが俳優の仕事」という信念を胸に合宿所で学んだ。今から1年半前、ストラスバーグ没後30周年記念公演を行うことを決めたヒラノ氏から主役に指名された。

 主人公の与ひょうを演じる。ヒロインつうを演じるヒラノ氏の妻ミユキ氏と、影絵も駆使した前衛的な舞台となる。同スタジオの現代表はパチーノ。公演期間中、米国の映画関係者や舞台関係者が観劇する可能性もある。認められれば米国で活動するチャンスも期待できる。石原プロの渡哲也(70)からは「頑張ってこい」と激励された。「最終リハの後、涙が止まらなかった。9年間のすべてはここにある。このためにやってきた」。飛躍の扉を開くことができるか。【村上幸将】