テレビ朝日が12月、田村正和(69)と米倉涼子(37)が主演する松本清張作品を2夜連続放送することとなった。開局55周年記念のスペシャルドラマで、田村が「十万分の一の偶然」(15日午後9時)で娘の事故死の真相究明に燃えるルポライター、米倉が「熱い空気」(16日午後9時)で変装した家政婦を演じる。ともに多くの清張作品に出演してきたこともあり、その熱演に期待が集まる。

 テレビ朝日が公開したイメージ写真で、田村のロン毛が燃えている。鬼気迫る表情。69歳には見えない迫力。刑事ドラマ「古畑任三郎」など、クールでひょうひょうとした印象も強かったが、イメージを大きく覆す作品になりそうだ。

 「十万分の一の偶然」の原作は80年3月から約1年間、週刊誌で連載された。交通事故で娘を失ったことを事故から1カ月後に知るルポライターを演じる。事故の瞬間を捉えた写真があまりにも正確なことから疑念を持ち、撮影者などの調査に乗り出す。

 ドラマでは77年フジテレビ系「砂の器」を皮切りに清張作品は今回で6作目。清張ワールドは熟知している。それでも「仕事だったとはいえ、娘の死を1カ月も知らなかった男には、同じく娘を持つ身である僕としては共感できませんでした」と設定には抵抗があった。しかし「悲しい運命の中で突き進もうとするこの男は、劇中の人物という観点で魅力的だった」と受け止めている。無念や怒りを前面に出したのが「燃える田村」のイメージ写真につながった。

 「熱い空気」の米倉は悪女の面を持つ家政婦を演じる。昨年のドラマ「家政婦のミタ」の大ヒットで家政婦が注目されている。今回の作品は、市原悦子が主演したヒットドラマ「家政婦は見た!」と同じ原作。米倉の変身ぶりと、名作の生まれ変わりぶりが話題になりそうだ。