5日に亡くなった歌舞伎俳優中村勘三郎さん(享年57)の通夜が10日、東京・文京区の自宅で行われ、約700人が弔問に訪れた。「近親者のみの密葬」とされていたが、多くの人に愛された勘三郎さんだけに、通夜開始の午後6時前から弔問客が絶えなかった。

 蜷川幸雄氏(77)も「天才的な俳優が57歳で亡くなるなんて、かわいそうだね」としのんだ。実は、勘三郎さんとは昨年5月にシアターコクーンでの井上ひさし作品「たいこどんどん」で初めてタッグを組む予定だった。「京都の撮影所のロケバスの中で『一緒に仕事しようよ』と話して決まった」。しかし、勘三郎さんが難聴などで昨年1月から半年間休養したため、中村橋之助の主演に変更し、初タッグは実現しなかった。「華があって、愛きょうがあって、あんなにうまい俳優はいない。これからの歌舞伎界は大変だと思う。残念、無念だね」としのんだ。