<連載「気になリスト」(36)>

 ボーカル&ギター清水依与吏(28)がつづる切ない歌詞とメロディーが印象的だ。センチメンタル・ロックバンドの異名を持つ3人組ロックバンド、back

 number(バックナンバー)。7枚目シングル「青い春」が、昨年10月期放送の長沢まさみ主演フジテレビ系連続ドラマ「高校入試」の主題歌となり、同曲を収録した3枚目のアルバム「blues」(同11月発売)の出荷枚数は10万枚以上。11年4月のメジャーデビューから、快進撃が続いている。

 すべては失恋から始まった。「バックナンバー」は型遅れの意味。清水が恋心を寄せていた女性が、バンドを組んでいる男性を好きになったため、対抗して結成したのが04年。男性目線で描いた失恋ソングが多かったが、一昨年から歌う内容の幅を広げている。

 日常生活から生まれる言葉やメロディーを使うことにこだわる清水は言う。「誰かを失ったりしながらも、次の日は来る。恋愛や失恋だけじゃなく、あふれてくるものが今はあるので」「かっこつけてもしょうがない。ビートルズはいいけどあまり聴かなかったので、だったらMr.Childrenさんの方が全然すごい。(英語詞は)言葉の意味が分からないですから。『I

 LOVE

 YOU』より『愛してる』と言える人になりたいですね」。

 AKB48の峯岸みなみ、藤江れいなもファンを公言する。「ありがたいなと思います。アイドルとかジャンルは違っても、基本的に同じ人間なんだなって(笑い)」と清水。寂しい気持ちやうれしい気持ち、飾らない言葉でつづられたリアリティーがあふれる歌詞が共感を持たれている。

 ドラム栗原寿(27)はグループの魅力を「変に背伸びをしていないところ」と自己分析する。清水は「格好良くないところ。美しく着飾るより、人間性を鍛えて服を脱ぐタイプのバンドだと思うので」と言った。

 今後について聞くと、ベース小島和也(28)は「やれることをやりたい。将来よりも今の方に目がいっています」と言い、栗原も「まず今年のツアーを成功させることが一番の目標」と現実を見据えた。今を全力で走り、今を切り取るリアリティーあふれる歌を歌い続ける。【近藤由美子】

 ♬back

 number(バックナンバー)栗原寿(ドラム)清水依与吏(ボーカル&ギター)小島和也(ベース)。04年に清水を中心に結成し、07年から現在のメンバーに。11年4月「はなびら」でメジャーデビュー。今年1月開始の全国ツアーは17カ所で19公演を開催。アルバム「blues」収録曲の「笑顔」が、昨年12月8日公開の映画「今日、恋をはじめます」のテーマソングになった。(1月7日付

 紙面から)