<連載「気になリスト」(56)>

 女優有村架純(19)は、透き通るような印象と、素朴さを併せ持った新鋭だ。最近では、ゲーム「タイムトラベラーズ」のCMで涙を流すシーンがネット上で「この美少女は誰?」と話題になった。

 公開中の主演映画「リトル・マエストラ」では指揮者の少女を演じた。雪降る中、岸から離れる船の上で涙ながらに指揮をする場面は澄み切った空気との相乗効果もあって透明感が引き立っている。雑賀俊郎監督も「透明感があり、プロ意識が高く吸収力もある。未完の大器だ」と評価する。

 親近感を抱きやすい素朴な笑顔も印象的だ。兵庫・伊丹市出身。母親からはよく「あんた、イモくさい顔してんな~」と言われていたという。「田舎出身のような雰囲気があるみたいです。そう言われても別に嫌ではなかったですけどね」と笑う。関係者によると、有村のイメージを伝える際、「小さいころ、故郷の祖母の家に行った時、その近所に住んでいるきれいなお姉さん」と説明すると「なるほど」と納得してくれるという。

 自分のことは「基本的に控えめな性格」という。それでもデビューから3年が過ぎ、「最近はそれじゃいけないと思っています」と課題を自覚している。「今までは頭で考えすぎて自分の中の正解が見つからないこともありました。女優は感情を表現することが必要なんです。だから疑問に思ったらすぐに聞いたり、まずは思った通りに動いてみないと」。

 「リトル・マエストラ」で演じた主人公は「私にはない部分を持っている。自分から発信していくという部分が難しかった」と言うが「例えば好きな食べ物は何か、というように、原作で設定されている以外の性格を自分で分析したら、演じられるようになった」。受け身ではなく、役柄に積極的に近づき、キャラクターを染み込ませて現場に立つことができた。

 今年20歳になる。「まだまだ子供です」と言いつつも、殻を破ろうと試行錯誤している。新しい魅力がどんどん加わっていく予感がする。【横山慧】

 ♥有村架純(ありむら・かすみ)1993年(平5)2月13日、兵庫県生まれ。10年4月に上京し、同5月にドラマ「ハガネの女」で女優デビュー。11年「ギャルバサラ~戦国時代は圏外です~」で映画初主演。同年に東京ディズニーシー「春のキャンパスデーパスポート」でCM初出演。テレビ朝日系ドラマ「11人もいる!」やNHK「つるかめ助産院」などのドラマに出演。今年4月からNHK連続テレビ小説「あまちゃん」に出演する。160センチ、血液型B。(2月11日付

 紙面から)