会社員、教師、医師、ヤクザ、シングルファーザーなどさまざまな役を演じてきたSMAP草なぎ剛(38)が刑事に初挑戦した。草なぎ主演のテレビ朝日系スペシャルドラマ「スペシャリスト」(18日午後9時)の制作会見が2日、東京・六本木の同局で行われた。天然ぶりも交えながら、刑事役の難しさ、演じきった満足感と自信などを語った。

 「いろんな俳優さんが刑事役は難しいとおっしゃっていたのを聞いてました。それでもセリフをちゃんと覚えていけばできるんじゃないかと思っていた」。草なぎは、ひょうひょうとした語り口で収録前の心境を率直な言葉で説明した。気負いなく収録に入ったが、膨大なセリフ量、専門用語に苦戦した。この日は「本当に難しかった」と何度も繰り返した。

 演じた主人公の刑事は、冤罪(えんざい)で服役した異色の経歴を持つ設定。さらに受刑者全ての犯罪歴や手口、背景を完全に頭にたたき込み、犯罪のスペシャリストとなった刑事だ。慣れない刑事役にさらに複雑な要素が加わる難役だった。あまりの難しさを「台本を読んでも、誰が犯人なのか、分かんなくなっちゃうんですよ」と訴えるように説明した。さらに「お芝居をしながら『この人が犯人かな』『いや、この人かな』と思いながらやってました」と続けた。それでも「その分リアルなんです」と力説。「10年間服役して世の中に出た人間なので、最初はふわっとしたところがあって、後半鋭くなっていく」と戸惑いが役作りにつながったと強調した。

 共演の南果歩(49)は草なぎの独特の魅力に強い刺激を受けたという。「強靱(きょうじん)な体力と精神力、集中力、まめなところがある。草なぎ剛のことを語り出したら1時間かかる」と絶賛した。2月に京都で収録した際、火鉢の番をする気配りもみせたという。

 草なぎはドラマや映画でこれまで、ヤクザにして介護士、余命いくばくもない教師、シングルファーザー、自閉症の青年、研修医、盲目の男、戦国時代の武士など幅広い役を演じており、「新しい刑事ドラマになっている」と初役に挑んだとは思えない自信もみせた。

 ◆スペシャリスト

 京都府警の警察官で、10年前に殺人未遂の罪で有罪判決を受けた宅間(草なぎ剛)が出所。懲役15年の判決だったが意識不明の被害者が目覚め、犯人は宅間ではないと証言。宅間は「特別捜査係」という閑職に復職した。全受刑者の犯罪を頭にたたき込んだ犯罪のスペシャリストになっており、コンビを組む元捜査1課の刑事、千波(南果歩)らと事件解決に挑む。※なぎは弓ヘンに前の旧字体その下に刀