AKB48総合プロデューサーの秋元康氏(55)がプロデュースを手掛ける異色公演が6日、開幕した。クレイジーケンバンドのボーカル横山剣(52)の大座長公演で、この日、東京・浅草公会堂で初日を迎えた。2人は友人で、「演技は苦手」という横山を秋元氏が口説き落として実現した。「音楽もメロディーに乗って演じること。エンターテインメント力の高い横山さんと一緒に、ぜひ面白いことをやってみたかった」と動機を明かした。

 公演は2部構成。1部は謎の屋台ラーメン店主を横山が演じる芝居、2部はバンドのライブ。人気演歌歌手が開催する昭和芸能の王道ショーのスタイルだ。当初は腰の引けていた横山も「ここ数年なかった根拠のない自信が湧いてきた」とノリノリで挑んでいる。

 AKB48のプロデュースで多忙な秋元氏だが、活動をさらに多方面に広げている。大震災の被災地、宮城県女川町の再興商店街のプロデュースや、東京五輪招致委員会の仕事が既に始まっている。仕事の合間には、ニューヨークやロンドンに渡り、最新のミュージカルを視察。オフブロードウェーの人気ショー「フェルザブルタ」の演出家ディッキー・ジェイムス氏と新企画を進め、ニンジャを題材にしたミュージカルの構想をスタートさせている。

 常々、「予定調和は面白くない。人の予想を超えたエンターテインメントを作りたい」と話す秋元氏。コワモテのボーカリスト横山に、昭和演芸の聖地で大衆演芸に挑戦するレールを敷いたのも、そんな「哲学」の一環だ。【瀬津真也】