ドラマ「踊る大捜査線」のプロデューサーを務めたフジテレビ亀山千広常務(56)が、豊田皓社長(67)の後任として新社長に昇格する人事が固まったことが14日、関係者への取材で分かった。6月の株主総会後の取締役会で正式決定する。同局は視聴率争いで長年トップの座を維持していたが昨年度、テレビ朝日と日本テレビに抜かれ3位に転落。トップの若返りで黄金時代の復活を目指し、巻き返しを図るつもりだ。
フジテレビ日枝久会長(75)は日刊スポーツの取材に「現場を経験し映画を大ヒットさせた実績がある。もう1度、視聴率3冠王(全日、ゴールデン、プライム)へ引き上げることができる人材」と亀山氏を抜てきした理由を説明した。
制作現場に精通する初のトップ誕生だ。同氏は主にドラマ畑を歩み、木村拓哉(40)をブレークさせた「あすなろ白書」や「ロングバケーション」、織田裕二(45)主演で国民的人気を得た「踊る大捜査線」シリーズなど人気作を数多くプロデュース。ヒットの「法則」を知っている。ヒットメーカーとして多くのメディアに登場するなど、同局の「顔」として知名度も高い。
豊かな発想力もある。「踊る-」は刑事ドラマながら、アクションなし、事件解決に重きを置かない、事件よりも組織を描くなど、斬新な発想でヒットに導いた。ブームを映画化につなげ、「踊る大捜査線2」は興行収入約173億円を記録。日本実写映画歴代1位の金字塔を打ち立てた。ブームを「点」で終わらせず「線」でとらえ、ビッグビジネスに発展させるセンスは同局を経営面で支えた。昨年1月には同局の持ち株会社、フジ・メディア・ホールディングスのベンチャーキャピタル事業会社社長に就任するなど、経営のノウハウも学んだ。
若さにも期待が寄せられている。同局黄金期の立役者となった日枝氏は50歳で社長に就任。常識破りのバラエティーや時代の最先端をつかんだトレンディードラマを打ち出し、長く視聴率トップの座に君臨した。亀山氏は、豊田社長と比べて11歳も若い。日枝会長は「若い社長と言われるが、僕も50代でやったから」。黄金期再来のムード作りに大幅な世代交代が必要という判断もあったようだ。
同局は視聴率競争で日本テレビ、テレビ朝日に抜かれる苦境に立たされている。日枝会長は「会社の空気を変えることが上昇につながると思った」と話した。
豊田社長はフジ・メディア・ホールディングスの社長も退き、同局とホールディングスの副会長に就任。ホールディングスの社長には太田英昭副社長が昇格する見込み。日枝会長はテレビ、ホールディングスとも留任する。
◆亀山千広(かめやま・ちひろ)1956年(昭31)6月15日、静岡県生まれ。早大卒業後、80年フジテレビ入社。編成部に10年在籍後、制作部に異動、多くの人気ドラマをプロデュース。03年に映画事業局長となり「踊る大捜査線
THE
MOVIE」など手掛ける。06年に執行役員、10年に取締役、12年6月に常務取締役とフジ・メディア・ホールディングス取締役に就任。編成制作局長時代、サッカーW杯の日本対ロシア戦(視聴率66・1%)放送権を引き当て「神の手」ならぬ「亀の手」と呼ばれた。




