将棋アマチュア3段のタレントつるの剛士(38)が、羽生善治3冠(42)森内俊之名人(42)らトッププロ棋士たちと対戦する7番勝負を始めた。ハンディをもらっているが、このほど東京・千駄ケ谷の将棋会館で行われた初戦で、週刊誌連載や将棋番組でも知られる先崎学氏(42)に勝つ快挙。ここまで3戦終わり、1勝2敗と善戦している。7番勝負は10月出版予定の本「つるの将棋(仮)」(幻冬舎)にまとめられる。

 つるのは初戦を前に「ただただ緊張します。名だたる棋士の方々と盤を挟むだけでも大変なことなんですから!

 それだけでありがたいです」と恐縮しきりだった。本に使うため先崎氏と写真を撮ったが「これすごいことだよね。この本欲しい!」と大喜び。初めて買った教則本の著者が同氏だったこともあって、表情はファンそのもの。同氏も「つるのさんは芸能界にいる将棋の応援団。ありがたい存在です」とエールを送った。

 対局が始まると空気は一変した。飛車落ち(相手の飛車がない状態から始まる)のハンディをもらった。おじぎをすると表情から、いつもの人懐こい笑顔が消えた。室内には駒を置く音だけが響いた。

 約2時間後、つるのが勝利した。関係者が「飛車落ちでも厳しい」と話すほどの快挙だ。プロ8段の同氏から「駒さばきがすごく良かった」とたたえられると「疲れました…。あの先崎先生と将棋が指せた…」と信じられない様子だった。

 2戦目は女流棋士の矢内理絵子氏、3戦目は58年間現役として活躍し続けている加藤一二三9段を相手に角落ちで戦ったが負けた。つるのは「女流棋士の方と指すのは新鮮でした。加藤先生には秒殺されました」と楽しんでいる様子。今後も、羽生3冠、森内名人、渡辺明竜王ら強敵との対局が予定されている。

 「つるの将棋(仮)」は対局の詳細だけではなく、棋士たちの素顔が垣間見える内容の本になる予定。つるのは「棋士のプライベートな話が読めるのは珍しいので、いろんな人に読んでほしい」。トップ棋士との対戦を通して、好きな将棋を広めるつもりでいる。<つるの剛士と将棋>

 ▼始める

 25歳。主演した「ウルトラマンダイナ」が終了したころ。「地方での仕事が増え、新幹線での移動中、携帯ゲームをしているうちにハマった」。

 ▼ドラマ

 08年フジテレビ系「ハチワンダイバー」にプロ棋士役で出演。

 ▼司会

 NHK・Eテレ「将棋フォーカス」(日曜午前10時)。前身番組からの続投。昨年アマ3段を授与された。

 ▼プロ棋士との交流

 戸辺誠氏から指導受け、野月浩貴氏とはたまに飲みに行ったり、対局してもらう間柄。