歌舞伎俳優市川月乃助(44)が8月の東京・新橋演舞場公演「さくら橋」(2~27日)で藤山直美(54)と初共演する。

 藤山との出会いは25年前。月乃助が歌舞伎界に入った時、楽屋待ちのファンの中に藤山の姿を見つけた。「もうスターだったのに、普通にファンの中にいた。うちのだんな(市川猿翁)を見る時は少女のような目でした」。その後も藤山にかわいがられ、今年1月に宝塚歌劇団出身の貴城けい(39)と結婚した時は、結婚祝いの食事会を開いてくれたという。

 共演者となった藤山について「稽古場ではすごすぎて、手も足も出ない」という月乃助だが、藤山ふんする花をだます若だんな役。「だますつもりはなく、その時は必死に生きている男。ちょっと気を抜くと嫌な男になるので、母性本能をくすぐるような男にしたい」。最後は89歳の老人となって登場するが、「老け役は初めて。今は電車の中でも老人に見入ってしまう。前から人間観察をしておけばと反省してます」と言った。

 貴城との新婚生活も半年が過ぎた。「安心感がある。同じ職業なので、気を使わないですむし、舞台のことですぐ相談できる」。貴城とは6年前に舞台共演し、昨秋の舞台で5年ぶりに再会した時に「『あれっ』と思った。身内のような、遠い親戚のような感覚があった」という。再会から4カ月の結婚に「急展開ですよね。身の回りのことをやってくれるので、仕事に集中できる。こんなことなら、もっと早く結婚しておけば良かった」と笑った。