歌舞伎俳優坂東三津五郎(57)が膵臓(すいぞう)腫瘍のため、9月1日初日の東京・新橋演舞場「九月大歌舞伎」を休演することが26日、分かった。今日27日以降に都内の病院に入院し、治療に専念する。

 この日、三津五郎は「早期発見できたことは膵臓の病気としては大変幸運なことだそうです。完治に向けての治療のため、しばらく三津五郎にお時間をちょうだいしたく存じます」とのコメントを発表した。手術するか、投薬など化学治療にするかは入院後の精密検査結果で決めるという。

 「代役を仰せ付かることはあっても、この50年病気、けがでの入院もなく休まず舞台に打ち込めたのは丈夫な体のおかげだと思っておりました」と振り返る三津五郎だが、7月初めに定期的な健康診断を受けたところ膵臓に異常があり、再検査で腫瘍が見つかった。ただ、「腫瘍は小さい」と説明し、盟友の中村勘三郎さんとともに始めた8月の歌舞伎座「納涼歌舞伎」は予定通り出演し、24日の千秋楽後、入院・加療することにした。関係者によると、痛みなどの自覚症状はないが、医者の勧めでたばこはやめたという。

 「九月大歌舞伎」の「御浜御殿」の綱豊卿を中村橋之助、「不知火検校」の石坂喜内を市川左団次、「馬盗人」の悪太を中村翫雀に配役変更する。9月27日の「歌舞伎座特別舞踊会」は休演するが、11月の松竹大歌舞伎は病状を見て決める。また、ナレーションを担当するテレビ朝日系「世界の街道をゆく」は、当面の放送分は収録済みという。

 ◆膵腫瘍

 膵臓に出来る腫瘍で、胃の裏側にあるため早期発見が難しい。自覚症状もあまりないため、見つかった時には既に病状が進行しているケースが少なくない。一方、腫瘍によって、すぐに手術が必要な場合と、経過観察して大きくなったら手術する場合に分かれるとされる。