<連載「気になリスト」(8)>

 医師、タレントの西川史子、歌手土屋アンナ、お笑いタレント松嶋尚美らのものまねで人気が急上昇しているのが、みかん(29)だ。TBS系「サンデージャポン」(日曜午前10時)をはじめ、先月はファッションショー、東京ガールズコレクション(TGC)に出演。活躍の場が広がっている。8年前の初舞台の観客は2人だったが、TGCでは3万人を盛り上げた。

 故郷は愛媛県今治市。芸名も県の名産品から付け、夢はポンジュースのCMに出ることだと故郷愛を見せる。小さいころから人を笑わせるのが大好きで、初めてのものまねは、大ファンだった浜崎あゆみ。プロになることはまったく考えていなかったが、旅行先の福岡で見たものまねショーで知り合った人が上京を勧めてくれた。家族は大反対。「友達はすぐに帰って来ると思ってたみたい。『半年(で帰って来る)に1万円』『3カ月に5万円』とか言われました」と振り返る。

 ものまねショーパブでの初ステージ、2人のお客のうち1人は地元の知り合いだった。得意の浜崎を歌ったが、「緊張で歌も飛んで、立ち位置も間違えた」と散々だった。ショーパブも、出店してはつぶれる-を繰り返す厳しい世界。安定してステージに立てるわけではなかった。

 転機は今年2月。「サンジャポ」レギュラーの西川のものまねで初出演して話題に。今ではほぼ毎週出演している。「番組にも西川先生にも特別な思いがあります。枝分かれして今につながっています」。

 私生活では、もうすぐ2歳になる男の子の母親だ。2年前、お客としてショーに来てくれていた会社員と結婚。芸への評価は厳しいが、「本当におもしろい時だけ褒めてくれる」と全幅の信頼を置いている。土屋を研究している時も、まゆ毛の位置までアドバイスしてくれたという。

 そうしてつかんだビッグチャンス。サンジャポファミリーや夫への感謝を口にすると涙がこぼれた。「西川先生もアンナさんも鈴木奈々ちゃんも、私がものまねする方々って本当に温かい。旦那にも恵まれていて、あきらめずに頑張って本当によかった…」。

 エネルギッシュで涙もろくて努力家。夢に向かって成長中だ。【小林千穂】

 ◆みかん

 本名・小出千春。1984年(昭59)2月24日、愛媛県今治市生まれ。21歳で上京し、ものまね芸人として活動を始める。レパートリーは、西川史子、土屋アンナ、松嶋尚美、鈴木奈々、北陽の虻川美穂子、能年玲奈、夏菜のほか、「ドラゴンボール」「アンパンマン」などアニメキャラクターも含め50以上。書道4段、料理も得意。168センチ、血液型O。