女優杏(27)が、日刊スポーツのインタビューに応じ、NHK朝の連続テレビ小説「ごちそうさん」(月~土曜、午前8時)におけるさまざまな逸話を明かした。昭和初期の食いしん坊ヒロインを演じているが、収録後もヒロインになりきり「食」を探求。好きな読書も自粛しているという。番組は、放送10話の平均視聴率は21・3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好発進。前作「あまちゃん」の後を受け、反応を危ぶむ声もあったが、好調の理由も聞いてみた。

 杏は「ごちそうさん」好発進の理由を独自の視点で分析した。

 「やっぱり、『食は強し』でしょうか。例えば、とろみのついたおつゆ。せりふにもないのに、ちゃんと葛(くず)を使っている。そのこだわりが『おいしそうだな』と思ってもらえると思います」

 東京生まれのヒロインが大阪に嫁ぎ、東西の食文化の違いを通じて家族の絆を描く。映画「かもめ食堂」などを手掛けた人気フードコーディネーター、飯島奈美氏が監修で、関東地区では、9月30日の放送開始からの平均視聴率21・3%(関西地区19・7%)。03年後期の「こころ」以来となる開始10話連続20%超の快挙も果たした。さまざまな社会現象を起こした「あまちゃん」の後番組だけに、相当な重圧があったのではと想像したが、杏はあっさりと否定した。

 「プレッシャーも(ヒロインの)実感も意外となくて…。毎朝、め以子として過ごしてきた思い出を確認するように見ています」

 その上で、自らを「素直で影響されやすいタイプ」と言い、今はプライベートでも「め以子」的な生活を送っていることも明かした。収録のため、大阪市内のホテルに滞在中だが、鶏を1羽持ち帰り自炊することも。最近の逸話は…。

 ◆鯛飯

 おいしすぎて、収録後におにぎりにして持ち帰った。切り身も持ち帰ったといい、「(ホテルで)ドラマではできない洋風のアクアパッツァにして食べてみました」。

 ◆大阪風昆布だし

 現場で全16種を味見。近くの商店街にある昆布屋へ通い「ベストだし」を研究中。

 ◆はも

 ゆびきがおいしいことで興味津々。いけすに手を入れかけ、スタッフに「指やられるぞ!

 やめて」と怒られる。

 ◆生梅食べる

 生では食べられない梅を、制止される前にパクリ。「生はおなか壊すらしいです。でも大丈夫でした」とケロリ。

 ◆商店街通い

 鮮魚店に行き、さんまを買ってホテルで調理。「オイルサーディンのレシピをもらったので、今度はイワシを買いに行こうと。東京だと春菊ですけど、こっちは菊菜があって、ドレッシングとあえただけでおいしい」。

 食べるだけでなく、美貌維持の努力も欠かさない。それは朝から始まる。

 ◆朝シャワーでむくみ解消

 寝不足だと「目がはれぼったくなる」ため、朝はシャワーを顔にマッサージするようにあて「血流をよくしています」

 ◆寝るのも仕事

 夜は本、漫画を読みたくなっても、「我慢して電気を消します!」

 ◆運動は階段で

 スタジオと着替えの部屋が1階違い。「1日20往復ぐらい階段を走っているので、クタクタになっています」

 収録分は既に年末放送分まで進んでいるという。だしひとつへのスタッフのこだわり、め以子になりきる杏の好奇心が、作品に厚みを持たせており、このまま総力で「あまちゃん」に負けない快進撃を目指す。【村上久美子、鈴木絢子】

 ◆杏(あん)

 本名・渡辺杏。1986年(昭61)4月14日、東京生まれ。15歳で雑誌モデルになり海外でも活動。07年、テレビ朝日系ドラマ「天国と地獄」で女優デビュー。09年にはNHK大河「天地人」や、日本テレビ系「華麗なるスパイ」に出演。11年にはフジテレビ系「名前をなくした女神」で連続ドラマ初主演。歴史好きで「歴女」の象徴的存在。父は俳優渡辺謙、兄は渡辺大。174センチ。

 ◆「ごちそうさん」

 東京の洋食店「開明軒」の名物食いしん坊娘だっため以子(杏)の家に、優秀な大学生だが偏屈でもある大阪人の悠太郎(東出昌大)が居候することになり、恋に落ち、結婚する。東京娘が、大阪男に嫁ぎ、大正から昭和の時代をたくましく生き抜く。め以子は、食事を通じて家族の絆を痛感しながら成長していく姿を描く。脚本は、ドラマ「JIN-仁-」などを手がけた森下佳子氏。主題歌は「ゆず」の「雨のち晴レルヤ」。