女優田中麗奈(33)が、来年4月の東京・明治座公演「きりきり舞い」(4月6~26日)で座長を務めることが21日、分かった。今年開場120年を迎えた明治座の女性座長といえば、三田佳子(72)大地真央(57)石川さゆり(55)ら大物が並ぶ。田中は初登場で初座長となる。

 「きりきり-」は、作家諸田玲子氏(59)の同名小説が原作。田中は「東海道中膝栗毛」で知られる十返舎一九の娘で、18歳の舞を演じる。作品は、玉のこしを夢見るが、大酒飲みで奇行が多い一九、押し掛け弟子の浪人、幼なじみで葛飾北斎の娘お栄ら、おかしな人々に振り回されながらも明るく生きる舞の姿を描く人情喜劇。

 田中は、向田邦子さんの短編集を原作にした08年「思い出トランプ」で初舞台を踏み、舞台は5作目。今回の舞台について「オファーをいただいた時は、時代物の喜劇を舞台でやりたいと思っていたので、正直、今回演じさせていただくことが楽しみです」と話している。また「明治座という格式ある大きな舞台で座長という立場でプレッシャーもありますが、好奇心の方が強いです」という。

 共演陣には実力派、個性派の面々がそろった。一九を加藤雅也、お栄を山崎静代、北斎を板尾創路、舞の育ての親えつを熊谷真実が演じる。ほかに篠井英介、八十田勇一、矢部太郎らも共演する。田中は「とても心強いです。個性豊かな人々に囲まれ、四苦八苦きりきりとする舞いを全力で演じたいと思ってます」と話している。今年は「授業」「船に乗れ!」と舞台出演が続いている。「絶対面白くします。お客様に豊かな時間を過ごしてもらうことを目標に頑張ります」と抱負を語っている。

 ◆明治座

 1893年(明26)に東京・日本橋浜町に開場。座元は初代市川左団次。89年開場の歌舞伎座に次ぎ歴史のある大劇場。関東大震災や空襲などで焼失、再建を繰り返し、7代目となる現在の劇場は1993年(平5)開場。客席数は1368。戦前戦後は歌舞伎、新派、新国劇の公演が多く、その後は杉良太郎、市川猿之助(現市川猿翁)の公演が人気を呼び、大衆路線の劇場として親しまれている。