女優多部未華子(24)が蜷川幸雄氏(78)演出の舞台「わたしを離さないで」(来年4月29日~5月15日、彩の国さいたま芸術劇場)に主演することが6日、分かった。英国で活躍する日系英国人作家カズオ・イシグロ氏(58)の世界的ベストセラー小説の舞台化で、蜷川作品は初登場の多部のほか、「ボクの四谷怪談」に続き2度目の三浦涼介(26)、初舞台の木村文乃(26)が共演する。

 多部が蜷川作品を彩った、浅丘ルリ子、松坂慶子、大竹しのぶ、宮沢りえ、松たか子ら主演女優の歴史に名を刻む。新しい才能探しのためテレビをよく見る蜷川氏は多部も知っており、制作側が多部の名を出すと「いいね」と即決し、抜てきされたという。「農業少女」などで舞台経験のある多部も「周りの役者さんから蜷川さんの話をよく聞いているので、怖くもあり楽しみでもありですが、お会いした時は優しい笑顔で接してくださいました」と信頼を寄せ、多くの女優を育てた蜷川氏も「若くて才能のある出演者たちを選んだので、成功させたい」と意気込む。

 「わたし-」は10年に映画化された。へールシャムと呼ばれる隔離された寄宿学校を舞台に、徹底した管理のもとで特別な存在として暮らす3人の男女のなぞが明らかになっていく。多部演じる少女の仲間に、三浦浩一・純アリス夫妻の息子の三浦、ドラマ、CMで注目の女優木村がふんし、脚本は倉持裕氏が担当。三浦は「蜷川さんはとっても大好きな人。笑顔を1回でも多く見るのが僕の楽しみです」と言えば、木村も「不安やプレッシャーはありますが、それよりもまた新しいチャンスにどうできるだろうかとワクワクしています」。メーンキャストが20代と若々しい舞台になりそうだ。【林尚之】