大ヒットドラマ「家政婦のミタ」の脚本家遊川和彦氏(58)が、日本テレビ系のスペシャルドラマで初演出を手掛けることが24日、分かった。系列局、読売テレビの開局55年記念番組「遊川和彦への挑戦状『30分だけの愛』」(来年1月2日深夜放送)で、ダーツを投げて選んだ3つの題目で脚本を執筆、演出するという異例の企画に挑む。

 遊川氏は「この企画をやると決まった時『無謀だ』と思い、ダーツを投げて題材が決まった時『無理だ』と内心ビビリました」と振り返る。ダーツで決めたのは「主人公の職業」「ドラマのカテゴリー」「テーマ」で、遊川氏自ら矢を投げ、それぞれ「マッサージ師」「ラブストーリー」「泥沼に咲く花」に決まった。「難しいテーマになっちゃった」と苦笑しながらも、指圧マッサージ師(小池栄子)と半身まひになったエリート証券マン(小沢征悦)が、30分間のリハビリを重ねる中で、孤独な相手の心に勇気をともしていくラブストーリーが完成した。

 小沢は「人間って滑稽だよねとか、みんな優しさが欲しいんだよねとか、そういうのが言葉の端々から伝わってくるのが素晴らしい」と遊川氏の脚本を絶賛。主演の小池は「役者の考えていること、悩んでることを瞬時に受け止める力の強い方なので、手を離さずに一緒に歩んでいけた感じがします」と遊川氏の演出にも信頼を寄せる。

 遊川氏は大学卒業後、番組制作会社のADとしてテレビ業界に入った。87年にTBS系「オヨビでない奴!」で脚本家デビューしたが、当初演出家志望で、今作で念願の演出家デビューが実現。「日頃、他人の演出に口を出している偉そうな脚本家がどんなものを作ったか、1人でも多くの方に確かめてもらいたいと思います」と話している。