先月の大相撲九州場所で日本相撲協会を定年退職した前三保ケ関親方で元大関の増位山太志郎(65)が4日、都内の明治記念館で新曲「夕子のお店」(11月20日発売)の出陣式に臨んだ。「無事に大相撲界を定年してこれからは歌で生きていきます。歌があること、次にやりたいことがある僕は本当に幸せ。相撲では大関止まりでしたが、歌謡界では横綱を目指します!」と、迫力ある握り拳を作って意気込んだ。

 力士、親方に続く第3の人生の門出は「待ったなし」の、全力の立ち合いで勝負する。現役力士だった74年の25歳時に歌手デビュー。すぐに大ヒットを飛ばした同年の「そんな夕子にほれました」の続編曲だ。「39年ぶりの題材だけど、歌詞の設定は10年後ぐらい。じゃないと夕子さんが老けちゃうからさ」と、冗談めかして解説した。昔ほれた女性から、妻にはバレないように男性名義で手紙を送られるという内容だ。「昭和のしっとりした歌謡曲。いい曲なら若い人たちも聴いてくれるはず」と熱く語った。

 77年には「そんな女のひとりごと」で130万枚を売り上げた元ミリオン歌手だ。昨年7月には、松居直美とのデュエット曲「秘そやかに華やかに」で再デビューを果たし、USENリクエストチャート1位を取るなど甘い歌声は健在。「待っている方がいるところは、全国どこへでも行くよ」と地方巡業にもやる気満々だ。【瀬津真也】