仲間由紀恵(34)がこのほど、12年に亡くなった森光子さん(享年92)の半生を描くフジテレビ系主演ドラマ「森光子を生きた女」で森さんが着る予定だった“幻の衣装”を着て、舞台「放浪記」場面の収録に臨んだ。

 森さんは09年5月に東京・帝劇で「放浪記」2017回上演を達成。10年5、6月に東京・シアタークリエで上演予定だった。ところが直前にドクターストップを受けて公演は中止に。実は森さんが演じる若き日の林芙美子が勤めた「カフェ寿楽」の場面で着る衣装が古くなり新調していた。衣装は仕付け糸が残ったまま保管されていた。ドラマ化にあたり、41歳で初主演した「放浪記」のカフェや晩年の自宅場面を再現することになり、仲間は幻の衣装を着て収録に臨んだ。

 カフェ場面の収録は都内のスタジオで行われた。生き生きと歌い踊る姿は、森さんが乗り移ったかのように明るく華やいでいた。仲間は「貴重な衣装を着せていただいて有名なシーンを演じるので緊張しました。でも森さんの力を借りて思いっきりできました」。さらに「カフェの場面だけでも息がぜいぜいになった。そんな舞台を長い間演じられた森さんにしびれます」と尊敬の思いをさらに強めていた。

 森さんと親交もあった。開演前の楽屋で恒例だった共演者との「お茶会」に参加したこともある。ドラマでは、若き日の知られざる一面も描かれ、お茶会なども再現される。「激しい人生を生きたからこその強さも実感しました。ハングリーさを持ちつつ、優しくたくましく生きた姿をしっかりと演じたい」。

 森さんの94回目の誕生日にあたる5月9日午後9時から放送されることも決まった。【林尚之】