三浦友和(62)が2つの顔を見せる。放送中のフジテレビ系連続ドラマ「極悪がんぼ」(月曜午後9時)で髪を金色に染めた裏稼業の男を演じる一方、WOWOWドラマ「トクソウ」(5月11日スタート、日曜午後10時)では地検特捜部副部長というエリート検事を演じる。対照的な役柄が同時期に放送されることについて「偶然ですが、面白いことになってしまいました」と受け止めている。

 「極悪がんぼ」では人を利用して金もうけに励む男を演じる。金髪にサングラス、光沢感あるスーツ姿は強烈な印象を与える。テレビドラマでここまでの設定を演じるのは初めて。外見の変身ぶりについては「見ると、サンドウィッチマンの伊達(みきお)ちゃんみたいだね。彼の大ファンだから、どこかでものまねしてくれないかな」と笑う。従来の正統派二枚目のイメージを大きく覆すことになるが、「失敗だったとしても不安はない。こういう役を依頼してくれる冒険心、遊び心がうれしいんです」と楽しんでいる。

 「トクソウ」では一転、ダークスーツに身を包む東京地検特捜部のエース検事を演じる。剛腕を発揮しながら汚職が疑われる政治家逮捕を狙う。最近は特捜が注目される事件が相次いでおり、タイムリーな作品となった。演じた役について「自分の描いたシナリオ通りに動かそうとする思い上がりがあり、組織にひそむおごり、甘えを象徴する存在です」と捉えている。

 実は昨年8月までの1年間、まったく仕事をしなかった。「病気でもされているのですか」と心配する手紙も届いたという。「仕事をしないと、何か自分が変わるかなと思いまして。これが何も変わらなかった。何の発見もなかった」と笑う。「人間って1年ぐらいじゃ何も変わらないんですね」と言うが、結果的に異なる2役を演じ分けるための貴重な充電期間になったはずだ。