俳優渡辺謙(54)がテレビ朝日系スペシャルドラマ「白銀ジャック」(今夏放送)に主演することが23日、分かった。作家東野圭吾さん(56)の同名ミリオンセラー小説が原作。渡辺は得意のスキーで、雪上アクションにも挑む。ハリウッド俳優と直木賞作家の初タッグが実現する。

 「白銀ジャック」は10年10月に発売され、現在約110万部の売れ行き。発売約2カ月で100万部を突破するなど、文庫史上最速といわれる勢いで売れた大ヒット小説だ。スキーアクション満載のミステリーが魅力で、スキー場の客全員を人質とする前代未聞の脅迫事件が題材。渡辺は、その事件を追う、真面目で一本気なゲレンデ統括マネジャー役を演じる。

 先月から行われた岩手・安比高原ロケは、気温マイナス17度の氷点下、風速25メートルの強風などで困難を極めた。だが、悪天候による撮影中止を何度も強いられながらも、通常単発ドラマの倍以上の時間をかけ丁寧に作り上げている。2時間超の放送予定だ。

 渡辺は雪国新潟の生まれ。実家がゲレンデ経営に携わっていた。スキーの腕前は一流で、特技を生かし犯人との雪上チェイスなどのスキーアクションをスタントなしで敢行。時には監督のもとに歩み寄って「ここはこうですよね」と確認する姿も見られ、演技にかける熱意はスタッフを鼓舞し続けた。

 渡辺は「毎朝4時半からセッティング。撮影中は氷点下でふぶかれ、雪上で冷たい昼飯を食べる状況でした。限られた撮影チャンスの中で、今までに見たことのないスキーアクションにサスペンスが加味された壮大な作品になった」と渡辺は自信を見せる。東野さんも「この小説が映像化されるとは、まさに夢がかなった思いです」と期待のコメントを寄せた。

 この夏。桁違いのスケール感と迫力シーンに満ちたドラマが、渡辺の代表作の1つに加わる。【松本久】