「もしかしてだけど」の歌ネタで人気のお笑いコンビ、どぶろっくの江口直人(36)が、特定外来生物のカミツキガメを無許可で飼育したとして、外来種被害防止法違反の疑いで4日、警視庁生活環境課に書類送検された。自宅マンション9階からカメが転落したのを通行人が見つけて発覚した。江口はこの日、「認識の甘さから管理を怠った」と書面で謝罪した。

 書類送検容疑は、先月13日、許可を得ず自宅ベランダでカミツキガメ1匹を飼育した疑い。警視庁によると、カメは体長約27センチ、重さ約5キロでベランダに置いた直径1メートルのたらいで飼われていた。都内が大雨だった同日午後4時半ごろ、ベランダの柵の隙間から逃げ出し、1階にあった店舗の日よけを破って転落したという。通行人の女性が「カメが空から降ってきた」と交番に届け出たため、カミツキガメの飼育が発覚した。カメは甲羅が割れて瀕死(ひんし)の状態だったという。江口は仕事で不在にしており、翌日警察に出頭した。

 カミツキガメは凶暴な性質で知られ、05年に特定外来生物に指定され、飼育や輸入が禁止されている。規制される前から飼育している場合、申請して許可を得られれば、飼っている個体に限り飼育できる。江口は13年前に都内ペットショップで購入し飼育していた。今年6月上旬に引っ越したばかりで、事情聴取に対し「前のマンションの時は大丈夫だったのに…」とうなだれていたという。今月1日までに数回の事情聴取を受けた。

 江口はこの日、謝罪文を報道各社に送付した。飼育許可を受けていなかったことについて「法改正後の内容を正しく把握しておらず、認識の甘さから管理を怠り、このような事態を招いてしまいました」。さらに「通行中の方や住民の方々に当たって大惨事にならなかったのが、せめてもの救いだと感じておりました。誰かに大けがをさせていたらと思うと、自分のいたらなさに胸がしめつけられる思いです。大変申し訳ございませんでした」としている。所属事務所の関係者によると、カメは警察が保管しており、江口も生死の確認ができていないという。

 どぶろっくは、江口と森慎太郎のコンビで04年に結成。男性の妄想を歌う「もしかしてだけど」のネタで人気になり、CDも発売。音楽フェスに出演するなど多方面で活躍している。

 ◆江口直人(えぐち・なおと)1978年(昭53)4月4日、佐賀県生まれ。保育園から大学まで同じだった森慎太郎と04年9月にコンビ結成。作詞・作曲を担当。そり上げた頭が特徴。趣味は爬虫(はちゅう)類飼育、特技は恋。168センチ。

 ◆カミツキガメ

 北米から中南米にかけて生息する淡水系のカメ。かみつく力、手足の力が強い。90年代から日本でも確認され、千葉・印旛沼流域や静岡県にも定着。ペットとして飼われたものが捨てられるなどして繁殖したとみられる。雑食性で何でも食べるため、生態系に大きな影響を及ぼす。大きいものでは約50センチにまで成長し40年ほど生きる。日本の侵略的外来種ワースト100に指定。