覚せい剤取締法違反(所持と使用)で起訴されたASKA(本名・宮崎重明)被告(56)の知人女性で、同違反で(使用)起訴された栩内(とちない)香澄美被告(37)の初公判が今日22日、東京地裁で開かれる。同被告は「無意識に第三者から覚せい剤を摂取させられた」と無罪を主張するとみられ、東京地検特捜部元副部長の若狭勝弁護士は「無罪の可能性は2割」と解説した。

 栩内被告は5月17日未明、都内の自宅マンションで覚せい剤所持の疑いで逮捕(使用の疑いで再逮捕)された。直前にマンションにいたとされるASKA被告も逮捕された。しかし、マンションからは覚せい剤は見つからず、栩内被告は所持では不起訴に。尿と毛髪からの陽性反応は出ているが、使用についても容疑を否認し続け、法廷でも「覚せい剤は第三者から知らないうちに摂取させられた」と、無罪を主張するとみられる。

 覚せい剤の所持、使用を認めているASKA被告も「栩内被告には覚せい剤を使用していない」と供述。その状況を踏まえ、若狭氏は「無罪の確率は2割弱ある」と指摘。(1)常習使用を示す毛髪から陽性反応の証拠を検察が提出できず、証拠として採用されない(2)知らない間に、覚せい剤を摂取したことを具体的に供述できる-がポイントで、それがそろった場合に限り、無罪になる可能性があるとした。

 「毛髪から陽性反応が出ているのに否認しているのであれば、長期間にわたって毎回『知らずに摂取していた』ことになる。苦しい弁解です。尿からの陽性反応のみの証拠であれば、1回だけ摂取してしまったということもあり得る」

 知らない間に摂取していたことを主張するのであれば、覚せい剤を使用していた人が近くにいた状況や、摂取する可能性があった状況などを説明できなければならない。「相当の説得力がないと難しい。抽象的な供述であれば即有罪」。

 否認したまま結果的に有罪となった場合でも量刑は変わらず、懲役1年6月、執行猶予3年が見込まれる。否認し続ける理由については、「最終的に有罪になるとしても、認めて有罪になるより否認しておいた方がいいだろう、と考えている可能性もある」。

 第2回公判以降にASKA被告が証人出廷する可能性もあるが、「認めているASKA被告は自分の事件だけで終わりにしたいところでしょう。2人の関係などをあれこれ聞かれるのは苦痛でしょうが、そういう思いをさせても栩内被告は、否認したいということなのでは」と推測した。