覚せい剤取締法違反(所持と使用)で起訴されたASKA(本名・宮崎重明)被告(56)の知人女性で、同違反で起訴された栩内(とちない)香澄美被告(37)の初公判が22日、東京地裁で行われた。10年来の愛人関係や避妊せず性交渉したことなど、ASKA被告との関係を生々しく明かすことで、無罪を主張した。

 栩内被告側の主張について、専門家は厳しい見方を示した。薬物治療を専門にする大阪・汐の宮温泉病院精神科の中元総一郎医師は「毛髪に関しては、高い確率で認められないのでは。体液に関しては理論上あり得るが、体液(精液)中の覚せい剤成分の濃度が検出されるほどのものかが鍵になる」と語った。

 同医師によると、毛髪は覚せい剤を使用した場合、約2カ月後まで成分が残留するという。ただ、浸透しにくい部位もあり、「複数回、検査すると、検出されない場合もある」。外部から汗などがかかったとしても、皮膚に近い構造のため水を通しにくく、「汗に含まれる覚せい剤成分が、毛髪に浸透して検出されるとは考えにくい」とした。

 別の検査専門家は「毛髪鑑定は、エタノールで洗浄後に実施するのが一般的。争点にはならないでしょう」と言った。体液に関しても「覚せい剤成分の濃度は尿、汗、精液の順で低くなる。精液は量も少なく、女性の尿と一緒に排出されたとしても、陽性反応が出る可能性は低い」とした。

 元厚生労働省麻薬取締官の浦上厚氏は、男女が性交渉での快感を増加させる目的で覚せい剤を使用する場合、「どちらかが使わないと、生活や性行為のテンションが合わなくなる」と指摘し、「あり得ない主張」と断じた。【村上幸将】