片岡愛之助(42)が歌舞伎の巡業公演で初めて座頭を務める。愛之助は25日、都内で行われた「松竹大歌舞伎」(11月12~25日)の会見に出席した。TBS系ドラマ「半沢直樹」で歌舞伎ファンを超えた人気も獲得。全国区の知名度と実力を兼ね備えた役者になったことの証明といえそうだ。

 愛之助は、地元関西の歌舞伎公演で座頭を務めたことはあったが、巡業の座頭は初めて。「そう言われれば言われるほどプレッシャーなんですが、座頭であろうがなかろうが、せりふが1つでも400でも、お客さんに『もう1回来たいね』と言っていただける芝居を心掛ける」と意欲的に語った。

 地方公演は歌舞伎を初めて見る客も多い。公演の顔である座頭は、チケットの売れ行きを左右する。関係者は「あまり歌舞伎を見たことがないというお客さんもいますから、実力があって、お客さんを呼べる知名度がそろっていることが大事」と言う。愛之助を見たいという要望は、公演予定の各地からも寄せられたという。「愛之助の名前が真っ先に挙がった」という声もあった。

 愛之助には、自分を知ってもらうことで、歌舞伎に興味を持ってもらうきっかけをつくりたいという思いがある。「ブログで『テレビや舞台を見て初めて歌舞伎を見た』というメッセージをもらうと、すごくうれしく思う。歌舞伎ってすごいんだとかみしめられる。違う仕事をすることを許してくださった松竹さんに感謝です」。昨年大反響だった「半沢直樹」の出演についても「ありがたいです。視聴率1%のすごさも知りました」と振り返った。

 巡業は、愛之助にとっても、観客にとっても、待ってましたの舞台になる。愛之助は「今年は5カ月しか歌舞伎に出させていただいていなく、さみしい思いをしていた」というように、気持ちはいつも歌舞伎にある。「6月の博多座で歌舞伎をやって、僕、歌舞伎役者なんだなあと思いました。落ち着くっていうんですか、実家に帰ってきたみたいな感じです」と笑った。

 演目は「彦山権現誓助剱(ひこさんごんげんちかいのすけだち)」「団子売」で、富山県射水市の公演を皮切りに10県19公演行われる。【小林千穂】◆片岡愛之助の最近の活躍

 ▼ドラマ

 昨年「半沢直樹」でオネエの金融庁検査官役。同年にNHK「ガラスの家」などに出演。

 ▼映画

 「仮面ライダー鎧武

 サッカー大決戦!

 黄金の果実争奪杯!」で悪役ライダー。漫画家楳図かずお氏の監督デビュー作「マザー」(9月27日公開)に主演。

 ▼舞台

 今年は三谷幸喜作・演出の主演舞台「酒と涙とジキルとハイド」、奥州藤原氏を描く「炎立つ」(8月9日から東京・Bunkamuraシアターコクーン)など。

 ▼CM

 資生堂、オンワード樫山、サントリー「ボス

 グリーン」など。

 ▼モデル

 今年3月に東京ガールズコレクションに出演。

 ▼その他

 昨年はNHK紅白歌合戦審査員、大阪文化賞、今年6月から堺市の親善大使。