あの頭突き美女は、ガチで強い空手の黒帯(有段者)だった。女優武田梨奈。セゾンカードのCMで瓦15枚を頭突きで粉砕し、おでこをなでながら照れた表情を見せる23歳だ。

 10歳の時に父親と弟の試合を見に行き、次の日に道場に入門した。

 「母はピアノとかバレエとか、女の子らしいのを習って欲しいと言ってました」

 空手の魅力に取りつかれた美少女は、強さを追求。現在は琉球少林流空手道月心会の黒帯で、今年6月の全関東空手道選手権大会では「女子組手」と「男女形」でダブル優勝してMVPを受賞した。

 「形よりも組手のほうが得意。強いんです」

 空手に取り組みながら、芸能界にもあこがれ続けた。モーニング娘。のオーディションも小1から受け、TBS系「3年B組金八先生」を見て女優を志した。現実に高1で芸能活動を始め、09年に「ハイキック・ガール!」で映画初主演。得意の空手を武器に悪の格闘集団「壊し屋」に入る女子高生を演じた。

 「空手は痛いって感情を出したら負け。お芝居は逆に感情を出さないといけないのが魅力です。オーディションの時の条件が『蹴られても大丈夫な女の子』でしたからね。これは私しかいないなと思いました」

 ジャッキー・チェンに憧れ、「私の中では神様」とあがめている。「“ださカッコイイ”じゃないですか。やられても、やられても、がむしゃらに前に進んでいく感じ。ダメだけどカッコイイのが楽しい」。

 9月27日公開の主演映画「少女は異世界で戦った-DANGER

 DOLLS-」では、アイドルに偽装した美少女戦士を演じる。

 「空手だけじゃなく、プロレス技とかのアクションを取り入れてます」

 CMをきっかけにバラエティー番組に呼ばれることも多いが、今後も女優を軸に活動していく。

 「アクションなしの作品にも呼んでもらえるようになりました。ちゃんと見てくれる人がいる。将来はハリウッドに行きたい。そこが目標です」。アクションもできる女優として結果を残し、海を渡る覚悟だ。【小谷野俊哉】

 ◆武田梨奈(たけだ・りな)1991年(平3)6月15日、神奈川県生まれ。今年2月に始まったセゾンカードのCMでブレーク。7月、西武-ロッテ戦の始球式前に行った瓦10枚割りが米国でも話題に。CBS電子版はトップに動画を貼り付け「武道スターは頭で瓦を割り、ファーストピッチを行った」と記事を掲載した。158センチ。血液型AB。