覚せい剤取締法違反(所持、使用)などの罪に問われた歌手ASKA(本名・宮崎重明)被告(56)の初公判が28日、東京地裁で行われた。検察側は3年を求刑、即日結審した。判決公判は9月12日午後2時から行われる。

 東京地検特捜部元副部長・若狭勝弁護士は、懲役3年の求刑について、一般的な違法薬物裁判の求刑よりも「重い方」と指摘した。「20年来の使用や暴力団からの購入など、再犯の可能性が高いと判断されたのでは。MDMAを100錠と多く所有していたことも重くなった原因だろう」と分析する。ちなみに、09年に覚せい剤取締法違反罪に問われた人気女優は初公判で1年6月の求刑で、判決は懲役1年6月(執行猶予3年)だった。

 ASKA被告について、執行猶予は「4~5年がつくだろう」と予想しつつ、今回の公判で、猶予期間中に保護観察所の指導などを受ける「保護観察」が付く可能性が高まったとも指摘する。弁護側は妻洋子さんの証言を取り上げたが、情状証人として出廷はしなかった。「直接裁判官に訴えないと、書面だけでは弱い」。さらに、ASKA被告は栩内被告の存在について「大事な存在」と証言したが「(妻がASKA被告を)監督できないと判断されてしまう可能性が高い」と影響を与える見込みだ。

 また「大事な存在」発言は、初公判で起訴内容を否認している栩内被告の裁判にも影響を及ぼす可能性があるという。この日検察側は、栩内被告との関係についてASKA被告に繰り返し質問した。「少しでも、栩内被告を有罪にもっていこうとする戦略だったと思う」。ASKA被告は、栩内被告と2人での使用については否定したが「『大事な存在』との証言は、栩内被告をかばっているという見方ができる。2人で使用していたとの疑いは高まり、栩内被告にとっては不利になる可能性がある」と指摘した。