歌手五木ひろし(66)が16日、今月6日に呼吸不全のため亡くなった大恩人の作詞家山口洋子さん(享年77)を追悼し、涙した。和歌山市内で芸能生活50周年記念ツアー「五木ひろしコンサート2014~ありがとう

 この歌を

 ありがとう

 あなたに~」を開催。昼公演を終えた後、取材に応じて「感謝、ありがとう、という言葉を言って、お別れしたかったです」と悔やんだ。

 正式に訃報を耳にした前日15日は、山口さんが作詞した曲のセルフカバーレコーディングを数日前に終えたところだったという。「作品をもう1度、世に送り出して、感謝の気持ちを伝えたいと思っていました。まさか、こういうことになるとは」。

 70年、五木が日本テレビ系「全日本歌謡選手権」に、無名歌手の三谷謙として出演。審査員だった山口さんは、三谷の才能、情熱にほれ込み、再デビューをプロデュースした。翌71年、「いいツキを拾おう」の意味も込め、「五木ひろし」と命名。「よこはま・たそがれ」を提供した。

 五木は、山口さんの叱咤(しった)が忘れられない。仕事が重なり「いったいどっちをやればいいんだ」と愚痴った際、「両方やりなさい。あなたが歌手として生きていく中で、両方が大切」と忠告された。「それから、挑戦と継承の2つがテーマだと思ってきました」。

 この日の公演のオープニングは「夜空」で、エンディングは「別れの鐘の音」。いずれも山口さんが作詞した曲だった。代表曲「よこはま・たそがれ」はメドレーの1曲として披露。MCでは「人には限りがあるが歌にはない。歌い継がれ聞き継がれて、いい歌は永遠に残っていく。より一層、山口さんの作品もそんな気持ちで歌っていきたい」などと感謝を繰り返し、拍手と歓声を浴びていた。