市川染五郎(41)が祖父初代松本白鸚三十三回忌追善「吉例顔見世大歌舞伎」(25日まで)で初めて弁慶に挑む「勧進帳」が1日、東京・歌舞伎座で幕を開けた。

 「弁慶をやるために歌舞伎役者になった」と41年間あこがれた思いをぶつけた。花道の登場から富樫の父松本幸四郎、義経の叔父中村吉右衛門に負けない大きさを見せた。白紙の巻物を勧進帳と偽って読み上げる機転と必死さ、主君義経をつえで打つ苦しさ、富樫が振る舞う酒を豪快に飲む大らかさ。花道を飛び六方で駆け抜ける勢いに、大きな拍手が起きた。曽祖父7代目幸四郎から続く高麗屋の芸は4代にしっかり受け継がれた。