お笑いタレント板尾創路(47)が監督、主演、脚本を務めた映画「月光ノ仮面」(来年1月14日公開)が、カナダのモントリオール世界映画祭(8月18日~)の「フォーカス・オン・ワールド・シネマ」部門で上映されることが29日、分かった。前作「板尾創路の脱獄王」は釜山映画祭で上映された。長編2作目でアジア圏を飛び出し北米に上陸することになった。同部門は、世界から集めた注目の作品という意味がある。

 板尾は「海外の人たちに見てもらえるのは素直にうれしい」と喜んでいる。海外映画祭では、つまらなければ途中退席する観客もいるほどシビアだが「いい雰囲気だと聞きました。感想や意見はそれぞれなので(批評には)ビビってないです。意図してない反応が楽しみ」と余裕を見せた。

 監督と主演をこなし心身ともに追い込まれた。主人公は、記憶を失い戦地から復員した人気落語家。落語のネタ「粗忽(そこつ)長屋」をつぶやく以外、せりふがない難役。こだわったラストシーンの撮影には24時間以上かかった。しかし「めげなかった。撮りたいものが見えていれば頑張れる」と自信になった。

 監督としても先輩である松本人志には、作品の完成を報告した。松本の新作「さや侍」がスイス・ロカルノ映画祭で上映されることは「すごいことですよね」と、刺激になったようだ。

 モントリオールでの上映日は今後決まり、板尾は現地に行く予定でいる。【小林千穂】

 ◆月光ノ仮面

 終戦から2年後、戦死したと伝えられた男が帰ってきた。男は戦前、人気、実力があった落語家、森乃家うさぎ。しかし男は、顔半分を包帯で覆い、記憶を失っていた。周囲は男を高座に上げるが-。出演はほかに浅野忠信、石原さとみ、前田吟ら。