シリーズ3部作合計で、全世界で約29億2000万ドル(約2340億円)の興収を記録した人気映画シリーズ「ロード・オブ・ザ・リング」の最新作「ホビット」が2部作で製作され、12、13年の12月に全世界一斉公開されることが6日分かった。ピーター・ジャクソン監督(49)が、「ロード・オブ・ザ・リング」の60年前を舞台に描く。

 「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ最新作は、3月にニュージーランドで秘密裏に撮影がスタートした。ジャクソン監督以下シリーズ3部作のメーンスタッフが、ウェリントンのストーン・ストリート・スタジオに結集。新作のタイトルも「ホビット

 思いがけない冒険」と、「ホビット

 ゆきて帰りし物語」に決まり、「思いがけない冒険」は12年12月14日、「ゆきて帰りし物語」も13年12月と、2年連続正月映画として、ワーナー・ブラザースの配給で全世界一斉公開される。

 「ホビット」は、「ロード・オブ・ザ・リング」3部作で登場した中つ国(ミドルアース)の60年前を舞台に描かれたシリーズの原点ともいうべき物語で、ファンから映画化を熱望されていた。ホビット族のビルボ・バギンズが、ドラゴンに支配されて失われたドワーフ王国の再建をかけて冒険の旅に出る姿を描く。ビルボ役には、ジャクソン監督が「知的で愉快で勇敢。ビルボを演じるために生まれてきた」と絶賛、英俳優マーティン・フリーマン(39)が起用された。また米俳優イライジャ・ウッド(30)、豪女優ケイト・ブランシェット(42)が3部作に続き出演する。

 今回は最先端のカメラと音響技術を駆使し、デジタル3Dとして撮影されている。毎秒24コマで撮影される従来の映画の倍の48コマで撮影しており、鮮明でスピーディーな3D映像が期待できる。03年の「ロード・オブ・ザ・リング

 王の帰還」で米アカデミー賞監督賞、視覚効果賞などノミネートされた11部門すべてを受賞する快挙を成し遂げた、同監督による革命的な映像となりそうだ。

 ともに00年代のファンタジー映画を引っ張った「ハリー・ポッター」シリーズが、7月15日公開の「ハリー・ポッターと死の秘宝PART2」で終止符を打った中、“復活”する「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズが全世界の映画ファンの期待を集めそうだ。【村上幸将】

 ◆ロード・オブ・ザ・リングの興収

 3部作合わせて全世界で約29億2000万ドル(約2340億円)の興収を記録し、シリーズの全世界興収ランキング8位。作品単独では「王の帰還」が、約11億2000万ドル(約896億円)で全世界興収で歴代3位。1位は「アバター」で約27億8000万ドル(約2220億円)。国内の興収は「旅の仲間」が91億円、「二つの塔」が78億円、「王の帰還」が103億円を記録した。

 ◆ロード・オブ・ザ・リング

 英作家トールキンの小説「指輪物語」が原作。ホビットのビルボは、全宇宙を滅ぼす力を持つ「サウロンの指輪」を手に旅に出ようとしていた。そんなビルボを説得して止めたガンダルフが、指輪の秘密を探る旅に出る。01年に「旅の仲間」、02年に「二つの塔」、03年に「王の帰還」が公開された。冒険と戦いの物語があまりに壮大で、映像化は不可能と言われた。