第24回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原裕次郎記念館協賛)の授賞式が28日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで行われた。宮崎あおい(26)が「ツレがうつになりまして。」「神様のカルテ」で主演女優賞を受賞。「ツレ」で宮崎の夫を演じた堺雅人(38)から花束と笑顔で祝福された。今後は「悪い役もやりたい」と役者としての幅をさらに広げる意向も示した。

 花束を持ってステージに現れた堺の姿を見つけると、緊張気味だった宮崎にようやく笑みがこぼれた。堺とは08年NHK大河ドラマ「篤姫」に続き、「ツレがうつになりまして。」でも夫婦役で再度共演。すっかり気心が知れている。「会うとホッとしますし、うれしいですよね」。堺から「現場にいるだけで、何もしなくても作品に誘ってくれる存在。ありがたいです」と最大級の賛辞を受けると、さらに表情が和らいだ。

 堺には受賞をメールで知らせた。「本当に喜んでいただきました。自分1人でいただいている賞ではないので、スタッフもそうですが、お芝居を一緒にさせていただいた堺さんのおかげでもあります。でも、今年最後にいろいろな人にありがとうを言えたことが一番うれしかったです」。

 02年「害虫」で新人賞を受賞した当時は17歳。キャリアを積み重ねた今、主演女優として作品全体を引っ張る責任感が自然と言葉に表れるまでに成長した。

 宮崎に受賞盾を贈った前年受賞者の深津絵里(38)は「悪人」で各映画賞を総なめにした。あれから1年たったこの日、「主演女優賞を受賞した翌年といっても、特に変わらないです」と平常心を強調した。宮崎も「精いっぱい目の前にあるお仕事をするだけ」と謙虚な姿勢は変わらないが、向上心から公私問わず常に課題を見つけている。

 来年の抱負を聞かれると「語学の勉強をしたい」と切り出した。今年放送されたNHKドラマ「蝶々さん」で英会話のレッスンを受けて以来、英語の勉強に力を注ぐ。「『蝶々さん』で英語のお芝居で思いが伝わる喜び、コミュニケーションが取れないもどかしさを発見したんです」。多忙な合間を縫って、毎日英語のフレーズをいくつか覚える地道な勉強を続けている。

 英語習得は意図したものではないが、尽きない向上心や好奇心が仕事への意欲を支えている。確かな演技力から出演オファーが殺到。語学を勉強する時間はないでしょうと水を向けられても「あると思います。英語圏に行けたら行きたい。いつか仕事につながれば」。女優としての海外進出についても「自分からはというのはないですが、機会があればいいなと思います」と何事にも前向きな姿勢は崩さない。

 「おもしろそうな役をいただけるなら、1つ1つ誠実に向き合いたい」。仕事への基本姿勢は変わらないが、挑戦したい役柄はある。「悪い役をやりたいです。最後まで悪い人。あの人、本当にああいう性格なのかもって思われるぐらいにできたら。いろいろなこともできそうですし」。女優としての探求心はいつまでも尽きることがない。【近藤由美子】