第25回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原裕次郎記念館協賛)が6日、決定した。石原裕次郎賞には降旗康男監督(78)がメガホンをとった「あなたへ」が選ばれた。
降旗監督はまず、高倉の主演男優賞を喜んだ。「6年間休んでいたから、いいきっかけになればいい。健さんは活動屋。今回も『撮影はしんどい』と言いながら、とても元気になっていった。撮影することが楽しみであり、次の元気につながりますから」。
「あなたへ」は、亡くなった妻の故郷で散骨するまでの男の1人旅を描いた。スクリーンに漂う人間の優しさ、風格などが受賞の決め手になった。石原裕次郎賞はスケールの大きな娯楽作が受賞してきた。「何十年、生きてきた人間が人生を振り返る時間にはスケールがあったかな」。
作品に、ある思いを込めていた。人生を振り返る、老いが迫った男を高倉に演じてほしいと考えた。助監督だった65年「昭和残侠伝」から約半世紀コンビを組んできたが、初の試みだった。「これまで人間の正しさを証しに描いてきた。今回は妻の遺言の真意を確かめる姿を通し、感謝、懐かしさ、生きている証しを描いた。国や法律、人と人との付き合いからも離れる。それが老いる幸せなのかなと。それを健さんが健さんの体で演じてくれた」。
石原裕次郎賞は、高倉主演の01年「ホタル」以来2度目。裕次郎さんとは77年ドラマ「大都会」で演出を手掛け、収録後にスタッフルームで酒を酌み交わした。高倉と裕次郎さんはともに56年にデビュー。同時代を生きたトップスター2人を知る同監督はその本質は変わらないと感じている。「裕次郎さんはとっぴなことは考えない人。健さんと同じで人に対し細かく気を使う人でした」。今、裕次郎さんと高倉の共演が実現したらと聞くと「そんな簡単にはできないけど、楽しみ。面白ければいいんじゃないでしょうか」。
石原裕次郎賞は、高倉の背中を押すきっかけになればという。「まだできる、頑張れるという感じになっているのでは。健さんは僕のアイドル。何とか(次の作品を)探さなければ」。穏やかな笑みを浮かべた。
◆石原裕次郎賞
戦後を代表するスター石原裕次郎さんの遺志を引き継ぎ、石原プロモーションの全面協力で日刊スポーツ映画大賞に併設。興行的にヒットした作品か、完成度が高く大作感のある娯楽作に贈られる。賞金は300万円。裕次郎さんをほうふつとさせる将来性豊かな、映画デビュー5年以内の新人に贈られるのが石原裕次郎新人賞(賞金100万円)。選出は25回中12人とハードルは高い。
◆あなたへ
北陸の刑務所の指導技官、倉島英二(高倉)は、50歳を目前に刑務所に慰問に来た歌手洋子(田中裕子)と結婚。2人は平穏な生活を営んでいたが、15年後に洋子が死去。遺言には「故郷の海に散骨してほしい」と記されていた。なぜ生前、思いを伝えなかったのか。英二は自家製キャンピングカーで総距離1200キロの旅に出て、散骨した時、妻の真意に気付く。
◆降旗康男(ふるはた・やすお)1934年(昭9)8月19日、長野県生まれ。東大卒業後、57年に東映入社。66年「非行少女ヨーコ」で監督デビュー。66年「地獄の掟に明日はない」で高倉健主演作を初監督。以後も「新網走番外地」シリーズや「冬の華」「駅
STATION」「居酒屋兆治」「夜叉」「あ・うん」「鉄道員(ぽっぽや)」「ホタル」など高倉とのコンビでヒット作を連発。78年に東映退社後はフリー。




